第五十八話 嘲笑その九
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「考えても仕方ない時がある」
「それが今だというのだな」
「そうなのだろう」
神の正面に立ちだ。そのうえでの言葉だった。
「これまでは考えて戦ってきたがだ」
「では私に向かうか」
「そうさせてもらう」
また神に述べる。
「これからな」
「ではだ」
今度は死神が言った。
「今からか」
「そうだ、行くがだ」
「私もそうするとするか」
「当然僕もね」
彼等もだ。目玉も言うのだった。
「だからだ。共にだ」
「攻めようか」
「いえいえ、それならです」
「わし等も忘れないことじゃ」
百目とバーバヤーガだった。
「今こうして留まっていてもです」
「仕方ないのう」
「では俺達もだ」
「共に行くか」
「ここは」
こう話してだった。魔神達もだ。
前に出ることにした。そうしてだ。
彼等は突き進みだした。神に対して。
そして神はだ。それに対してだ。
「ふむ。来たな」
「それでだというのだな」
「そうだ。来たのは認める」
それはだというのである。だが、だ。
それと共にだ。神はこうも言うのだった。
「しかしそれで勝てるものではない」
「貴様はそう思うか」
「ここでは嘘を言うつもりはない」
神は平然とした口調で述べてみせた。
「この私にそれでは勝てはしない」
「では。仕掛けて来るか」
「仕掛けるから言うのだ」
「そうか。では何をしてくるつもりだ」
「闇だ」
神は言った。
「その闇を見せよう」
「闇だというのか」
「我が妻の闇は酸だった」
それがあの酸の正体だった。夫であるこの神もそのことを知っていた。
そうしてだ。神はだ。ここでだ。
羽ばたきそうしてだ。そこからだった。
全身から凄まじい闇を放った。その闇こそは。
「これは」
「わかったか。見ることによって」
「わかった。闇だな」
死神がこう神に返すのだった。
「闇そのものか」
「この漆黒の姿が表わしているようにだ」
どうかというのである。
「私は闇そのものを扱うことができるのだ」
「そしてその闇はか」
「そうだ、混沌そのものだ」
そうだというのである。それが神の今の言葉だった。
「全てを飲み込むな」
「光だね」
目玉もここで言った。死神の中から。
「闇の光だね、それは」
「黒い光とも言うな」
死神は目玉のその言葉に応えた。一つの口を使って二つの人格が話をしている。彼等はそうして今お互いのやり取りをしているのだ。
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