暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第五十八話 嘲笑その九

[8]前話 [2]次話

「考えても仕方ない時がある」
「それが今だというのだな」
「そうなのだろう」
 神の正面に立ちだ。そのうえでの言葉だった。
「これまでは考えて戦ってきたがだ」
「では私に向かうか」
「そうさせてもらう」
 また神に述べる。
「これからな」
「ではだ」
 今度は死神が言った。
「今からか」
「そうだ、行くがだ」
「私もそうするとするか」
「当然僕もね」
 彼等もだ。目玉も言うのだった。
「だからだ。共にだ」
「攻めようか」
「いえいえ、それならです」
「わし等も忘れないことじゃ」
 百目とバーバヤーガだった。
「今こうして留まっていてもです」
「仕方ないのう」
「では俺達もだ」
「共に行くか」
「ここは」
 こう話してだった。魔神達もだ。
 前に出ることにした。そうしてだ。
 彼等は突き進みだした。神に対して。
 そして神はだ。それに対してだ。
「ふむ。来たな」
「それでだというのだな」
「そうだ。来たのは認める」
 それはだというのである。だが、だ。
 それと共にだ。神はこうも言うのだった。
「しかしそれで勝てるものではない」
「貴様はそう思うか」
「ここでは嘘を言うつもりはない」
 神は平然とした口調で述べてみせた。
「この私にそれでは勝てはしない」
「では。仕掛けて来るか」
「仕掛けるから言うのだ」
「そうか。では何をしてくるつもりだ」
「闇だ」
 神は言った。
「その闇を見せよう」
「闇だというのか」
「我が妻の闇は酸だった」
 それがあの酸の正体だった。夫であるこの神もそのことを知っていた。
 そうしてだ。神はだ。ここでだ。
 羽ばたきそうしてだ。そこからだった。
 全身から凄まじい闇を放った。その闇こそは。
「これは」
「わかったか。見ることによって」
「わかった。闇だな」
 死神がこう神に返すのだった。
「闇そのものか」
「この漆黒の姿が表わしているようにだ」
 どうかというのである。
「私は闇そのものを扱うことができるのだ」
「そしてその闇はか」
「そうだ、混沌そのものだ」
 そうだというのである。それが神の今の言葉だった。
「全てを飲み込むな」
「光だね」
 目玉もここで言った。死神の中から。
「闇の光だね、それは」
「黒い光とも言うな」
 死神は目玉のその言葉に応えた。一つの口を使って二つの人格が話をしている。彼等はそうして今お互いのやり取りをしているのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ