第五十七話 挨拶その八
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「ハーゲンダッツがいいか」
「そうね。来期も好きだしね」
「それならそれでな」
「いいわよね」
こうした話をしてだった。二人はそれでいいとした。
話を決めてからだ。また息子に話してきた。
「ハーゲンダッツでいいか?」
「それでいい?」
「楽しみにしている」
これが息子の返事だった。
「明日だな」
「父さんが仕事の帰りに買って来るからな」
「お母さんも買って来るわね」
「アイスクリームは多い方がいいからな」
「皆で食べましょう」
「御兄ちゃんよかったね」
未久も笑顔で兄に言ってきた。言いながら親子丼をかき込んでいる。
「ハーゲンダッツになったわよ」
「そうだな。それはな」
「私はアイスキャンデーがあるけれど」
「御前も食べることだ」
牧村は妹にだ。こう告げたのだった。
「一緒に食べろ。いいな」
「アイスキャンデーを?」
「ハーゲンダッツをだ」
アイスキャンデーではなくだ。それをだというのだ。
「いいな。食べるんだ」
「家族全員で?」
「そうだ。皆で食べよう」
また言う彼だった。
「わかったな」
「そりゃ私アイスクリームも好きだけれど」
それは否定しない未久だった。まさにその通りだからだ。
「けれど。お兄ちゃんの為にって買ってくれるものなのに」
「家族で食べてこそだ」
しかしだ。牧村の言葉は変わらなかった。あくまでこう言うのだった。
「だからだ」
「それでなの」
「一緒に同じものを食べよう」
具体的にはアイスクリーム、ハーゲンダッツのそれをだ。
「わかったわ」
「ええ、わかったわ」
ここでだ。妹も遂に頷いたのだった。
「それじゃあね」
「よし、食べるか」
牧村もここで言った。
「帰った時にだ」
「帰ったらって」
未久はここでまた兄に言うのだった。
「そんなの絶対にじゃない」
「家に帰ることはか」
「そうよ。そんなの決まってるじゃない」
何を言っているといった口調でだ。兄に話すのである。
「交通事故とかに遭わない限りはね」
「そんなの絶対に駄目だからな」
「事故には気をつけなさい」
両親もここで我が子に言う。
「事故には気をつけろ」
「いいわね。何があってもね」
「わかっている。俺は帰って来る」
また言う牧村だった。
「絶対にな」
「そうよ。そんなの絶対じゃない」
未久はそのことをまた話した。
「事故に遭わない限りはね」
「わかっている。それはない」
牧村はスピードは出す。しかしなのだ。
視野が広く運動神経も高い。だから事故に遭うことはないのだ。
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