第五十七話 挨拶その五
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その準備をしながらだ。話をしているのだ。
「ザッハトルテをだ」
「ああ、そういえば」
ザッハトルテと聞いてだ。若奈は考える顔になった。
そのうえでだ。また話す彼女だった。
「お母さん今ザッハトルテを考えてるのよ」
「和風のだな」
「そう、和風のね」
それをだというのである。
「作ろうってしててね」
「それでか」
「そう、だから」
「俺も食べていいのか」
「というか牧村君はね」
「俺は?」
「これからずっとその役してもらうから」
つまりだ。試食係だというのである。
「ずっとね」
「アルバイトでもありか」
「それもアルバイトだから」
試食係もそうだというのである。アルバイトだとだ。
「それでだけれど」
「部活か」
「それも続けるわよね」
若奈は牧村の顔を見て問う。彼女は今は赤いジャージだ。牧村はそれに対して青いジャージだ。色は好対照になっている。
「やっぱり」
「大学にいる間は」
「やっていくわね」
「そうする。それでだが」
「付き合うわね」
笑顔で話す若奈だった。
「そっちもね」
「部活もか」
「勿論お店もね」
そちらもだというのだ。
「手伝うからね」
「俺が菓子を作り食器を洗い」
「食器は私も洗うから」
「コーヒーや紅茶もするな」
「そう、それもね」
そちらもだというのだ。喫茶店の仕事は菓子作りだけではないのだ。
「御願いするわね」
「わかった。ただだ」
ここでこんなことを言う牧村だった。
「俺はウェイターにはなれないな」
「うん、無理ね」
笑ってだ。そのことについてはこう言う若奈だった。
「牧村君には接客はね」
「無愛想だからだな」
「これも才能みたいね」
若奈は首を傾げさせながら述べた。
「こうしたことができるかできないのも」
「最高か」
「そうみたい」
また牧村に話した。
「牧村君はそっちの才能はどうも」
「ないな」
「言ったら悪いけれどね」
こう前置きしての言葉だった。
「どうしても。牧村君は」
「なら俺は裏方に徹するか」
「表には私が出るから」
若奈はそれは自分から言った。
「だからそっちはね」
「任せろ。そうだな」
「そうして。妹達もいるし」
若奈は彼女達の名前も出した。
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