第五十六話 使長その十八
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なかった。
「これからは」
「貴様等もか」
牧村は老人の話を聞いて静かに言った。
「では俺もだ」
「遊ばれますか?」
「遊ぶがそれ以上にだ」
何をするかというのである。
「挨拶をして回るか」
「挨拶か」
「そうだ、挨拶だ」
死神にも答えるのだった。
「挨拶をして回る」
「混沌の中心に入る前にだな」
「必ず生きて帰る」
その考えも述べるのだった。
「何があろうともな。しかしその前にだ」
「暫しの別れだな」
「それ位はしておかないと気が済まない」
他ならぬだ。牧村の気がだというのだ。
そうした話をしてだ。そのうえでだった。
彼は死神とも別れた。そうしてであった。
混沌の中心に向かう前に為すべきことを果しに入った。それは彼の一つの覚悟でもあった。戦う者としての強い覚悟だったのである。
第五十六話 完
2011・4・4
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