第五十六話 使長その十五
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「貴様にとっては。残念だがな」
「違うというのね」
「そうだ、違う」
また言う彼だった。
「運命は決まったものではない」
「ではどういうものなのかしら」
「決めるものだ」
それだというのだ。彼はだ。
「己で切り開き。決めるものなのだ」
「人間の考えね」
「その通りだ」
まさにだ。人間の考えだというのだ。
「それが悪いか」
「神の考えとは違うわ」
神もだ。その考えを言ってみせた。
「神の考えは絶対よ」
「だからか。俺の考えはか」
「いいかどうか考えるまでもないわ」
「神の考えは絶対か」
「そういうことよ。だから」
その運命のことを話したのだった。
「運命は。変えられないわ」
「果たしてそれが真実かどうか」
髑髏天使は負けていなかった。それは言葉に出ていた。
「見せてやろう」
「そうだな。それはな」
神である死神もだ。こう言うのだった。
「私も見せよう」
「貴様もか」
「そうだ、見せる」
こうだ。髑髏天使に答えるのである。
「私も。その運命は自分で切り開くということをだ」
「貴様は神ではないのか」
「確かに神だ」
それは否定しなかった。
「だが。それでもだ」
「それでもか」
「私も運命については同じ考えになった」
「己で切り開くものか」
「貴様は本来だ」
神とその酸を見据えながら。髑髏天使に話すのである。
「智天使になった時に終わっていたのだ」
「それが運命だったのか」
「本来はな、魔物になりだ」
そのうえであるというのだ。
「そして私に刈られる運命にあった」
「しかしそうはならなかったな」
「そうだ。そしてそのことこそがだ」
「運命をか。切り開くということか」
それであるとだ。髑髏天使は聞いた。
それを聞いてだ。あらためてであった。
彼も神を見据えてだ。こう死神に返した。
「では見せてやろう」
「運命をか」
「それを切り開くことをだ。見せてやろう」
彼がこう言うとだ。彼と共に戦う魔神達もだ。口々に彼に言ってきた。
「ではだ」
「見せてもらうよ、その運命を」
「己で切り開くというそれを」
「見せてもらうわ」
「そうだな。それではだ」
どうするかだ。髑髏天使はだ。
己の身体に力を込めた。するとだ。
黄金の身体がだ。少しずつ変わった。
あのクトゥルフとの戦いの時の光が再び彼を覆いだ。そしてだった。
身体は七色に輝き髑髏もその色になる。翼も変わった。
それまで六つであった翼はだ。両手を両足にも一対ずつ生えだ。背中にもう一組現れた。六対、そして十二枚の七色の翼になったのだ。
虹色に輝く十二枚の翼を持つ姿になった。それこそがだ。
「これがだな」
「その天使は何だ」
「天使長だ」
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