第五十六話 使長その十一
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「さもなければ家によからぬ者が入ってきます」
「泥棒とかそういうのだね」
「はい、そうです」
老人が子供に答えた。
「人間の世界にはつきもののそうした存在には注意しないといけません」
「そうだね。そういう連中は何時でもいるからね」
「何処にでも」
「じゃあ仕方ないね」
子供はいささか残念そうに述べた。
「玄関の戸締りをしてからだね」
「はい、それまで待ちましょう」
「うん、じゃあ」
子供も素直に頷いた。そうしてだった。
牧村は玄関から出てそこに鍵をかけた。その時にはだ。
二人は彼の前に来ていて。足は地に着けている。そのうえでだ。
牧村に対してだ。あらためて話した。
「では」
「行こうね」
「これでいい」
牧村もその彼等に対して述べた。
「行くとしよう」
「はい、それでは」
「いいね。行こうね」
彼等の世界が一変した。そのうえでだった。
彼等はあの世界に来た、今度のあの世界はというと。
今回もわからない世界だった。暗闇と触手が混ざり合っている。
その中にだ。既に彼等がいた。
「遅かったな」
「少し待ったぞ」
青年と紳士がいた。他の魔神達もだ。
全員揃っていた。そのうえで牧村に言ってきたのだ。
「既に相手はだ」
「ここにいる」
「そうだな。いるな」
牧村は混沌の中にだ。男を見た。
男は混沌の中に浮かんでいる。牧村を見ていた。10
その彼がだ。こう牧村に言ってきた。
「貴様も来たな」
「呼ばれてだ」
「はい、私達がです」
「呼んだんだよ」
老人と子供がここで名乗りを挙げた。
「そうさせてもらいました」
「どっちにしろいないとはじまらないよね」
「そうか。貴様等が呼んだか」
男は今度は老人達を見た。
そのうえでだ。こう彼等に言うのだった。
「手間は省けた」
「彼を呼ぶ手間がですか」
「それをだね」
「それだけ動かなくて済んだ。そしてだ」
「私は今来た」
不意に霧が闇の中に出て来た。
それはすぐに実体化してだ。死神の姿になったのである。
その姿を現した死神がだ。男に言うのだった。
「こうしてだ」
「そうか。来たか」
「これで役者は全て揃ったな」
死神はまた男に対して言った。
「そうだな。違うか」
「その通りだ。こちらもだ」
「既に呼んでいるのか」
「ここにいる」
そのだ。混沌の世界にだというのだ。
「この世界にだ」
「触手か」
牧村は闇の中に蠢く触手を見て問うた。
「それがなのか」
「正解だが完全ではない」
「完全ではないのか」
「この世界全てがだ。そうなのだ」
「俺達が今度戦う神か」
「そういうことだ。さてだ」
男は言う。するとだ。
混沌から何かが浮き出てきた。そ
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