双葉時代・発足編<おまけ>
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んだ、その巫山戯た態度は。つくづく思うのだが、お前ワシを誰だと思っている』
「天下に名高き悪名高い九尾の狐。誰もが恐れる九喇嘛だろ?」
わざと戯けた様子で言ってみれば、予想に反して九喇嘛は鼻を鳴らすに留まった。
「あれ? なんでか機嫌が良さそうだね。どうしたの?」
いつもだったら巫山戯た事をすれば、照れ隠しの尾の一撃か爪の一振りが私に向かって放たれるのに。
――そんな事を思っていた時。
私と九喇嘛のいるこの海岸に面した崖に向かって、とんでもなく威圧感を感じる“何か”が近付くのを感じた。
「……なんだ?」
『フン! ワシの旧い知り合いだ』
その一言に、私は思わず隣の狐を見やる。
心底意外そうな顔をしていたのに気付いたのか、九喇嘛が不愉快そうに瞳を細めた。
『なんだお前、その目は』
「いや……。お前、友達とかいたんだね」
いつも一人で暴れ回っているか、遠くを眺めているだけだから、てっきりひとりぼっちだと思ってたよ。
因みにそれを言ったら、かなり強烈な爪の一撃を食らわされた。……勿論、木遁で防御したけど。
『――――お久しぶりですね、九尾』
木錠壁の後ろから頭だけを覗かせる。
すると、九喇嘛が寝転んでいた海に面した崖の向こうに、白く巨大な頭が見えた。
『何の様だ、五尾』
『特に用などはありません。偶々近くを通ったので、挨拶に寄っただけです』
馬に似た体躯に海豚の様にすべすべとした頭部。尾の数が五本である事、親し気に(九喇嘛の方はそうでもないが)会話をしている事から、尾獣なのは間違いないだろう。
木錠壁の後ろから出て来た私に気付いた五尾が不愉快そうに口を開いた。
『……何故、人間がここに居るのです』
「ええと、九喇嘛とお話ししていました」
五尾の艶やかな頭部には五本の角が生えていて、半月系の目の下には落ち着いた朱の隈取りが施されている、九喇嘛とはまた違った趣の美しい獣である。
……それにしてもすべすべしてそうだな、あの体。撫でてみてもいいだろうか。
そんな事を思いながら訊ねられた事に正直に答えれば、何とも不審そうな表情をされた。
『我々の中でも群を抜いて人嫌いな九尾が、あなたと……?』
「そうそう。数年前から時々こうしてお喋りしている」
もっとも、話の大半はろくでもない事ばかりだけどね!
どこぞの空区のお菓子がおいしかっただの、ミトの作る料理は最高だの、扉間が新しい術を開発したとか。
沈み行く月の光に照らされた五尾の純白の体が、幽玄な雰囲気を漂わせる。
『私の事をじろじろと見て、どう利用するのか考えているのですか? 余裕ですね』
「違う違う。月の光に照らされると真珠色に輝いて美しいな、と思ってた
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