第五十五話 魔水その十四
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「私の力。他の神々とは違う」
「話は聞いた」
「そこまではな」
二人も怯むことなく返す。
「確かにな」
「聞かせてはもらった」
「そうか。それは何よりだ」
「それではだな」
「いいな」
また話す彼等だった。そしてだ。
そのうえでだ。彼等はだ。
それぞれの構えに入った。
牧村は両手を拳にしてそれを己の胸の前で打ち合わせる。
死神は右手を拳にして己の前に置く。そうして。
白、青の光に包まれ。その姿を変えたのであった。
「行くぞ」
「その魂、刈らせてもらう」
右手を一旦開いて握り締め、鎌を一閃させる。それと同時に姿も変えた。
魔神達もだ。それぞれ戦う姿になっていた。
その姿になってだ。最初に百目が声に問うた。
「では貴方もですね」
「姿を現せというのだな」
「はい」
声に対して一言で答えた。
「そうしてもらえますか」
「わかった。それではだ」
声が実体化した。それは。
蛸を思わせる漆黒の頭、それに蝙蝠の翼、そして鋭い爪が生えた手足、その姿の巨人だった。それがおぞましい水の世界に出て来たのである。
その姿でだ。神は言った。
「これが私の真の姿だ」
「水の神クトゥルフのだな」
「如何にも」
死神の問いにも答えた神だった。
「その通りだ」
「貴様の名前は知っていた」
死神はその神を見据えながら述べた。
「確かにな」
「そうだな。しかし」
「しかし。何だ」
「私の強さは知らないな」
それはだ。どうかというのである。
「知っているか。どうだ」
「察しはついてはいる」
死神は神を見据えながら述べた。
「貴様は。これまでの三柱の神よりもな」
「そうだ、強い」
その通りだと。また答えた神だった。
「私より強い神はナイアーラトホテップと」
「あの黒い男か」
「そして混沌の原初の二神」
この名前も出た。
「アザ=トースとヨグ=ソロホートだけだ」
「その連中だけか」
「如何にも」
神は今度は髑髏天使の問いに答えた。黄金の姿になっている彼にもだ。
「その通りだ」
「そうか。それではだ」
「私を倒しそうしてだな」
「そうだ、最後までいかせてもらおう」
鋭い声で言う髑髏天使だった。
「必ずな」
「そうするか。では来るのだな」
この言葉が戦いのはじまりになった。そしてだ。
まずはだ。魔神達がだ。それぞれの光を放ったのだった。
それが神を受ける。だが。
神はそれを受けてもだ。全くだった。
動じない。そしてこう言うのであった。
「そうか」
「効いていないか」
「全くな」
こう魔神達に述べるのである。
「何一つとしてな」
「それではです」
それを聞いてだ。百目はだ。
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