第五十五話 魔水その七
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「この組み合わせはまさに最強です」
「最強か」
「はい、最強の味です」
ろく子は牧村にも述べた。
「牧村さんもどうですか?」
「そうだな」
ここでも微笑んだ。そのうえでの言葉だった。
「では俺も」
「はい、どうぞ」
ろく子はそのミルクのパックを牧村に渡す。彼はそれを受け取った。
それからだ。自分の皿のミルクにそれをかけてだ。
そのうえで食べる。ミルクの甘さと苺の甘酸っぱさが混ざり合ってだ。絶妙な味になる。そしてその甘さを堪能しながらだ。
ろく子に対してだ。こう言うのだった。
「この味だな」
「甘さのうえに甘さですね」
「極限までの甘さもいいな」
「そうですね。そういえば」
ろく子は思い出した様にこんなことも言った。
「自然の甘さが一番だ、ミルクをかけるのは邪道だという人もいますね」
「邪道とまではいかなくてもだな」
「それもまた食べ方ですね」
「そう思う。それを見て怒ることもないな」
「ところが怒る人もいます」
「どんな奴だ、それは」
「はい、この前喫茶店にいました」
その人間のことがだ。ここで話される。
「黒いスーツでオールバックの人で」
「ああ、あいつね」
「あいつは酷かったね」
「最悪だったね」
妖怪達がすぐに気付いたようにして言ってきた。
「もうね。お店の中で騒いで」
「こんな料理の仕方があるかって」
「フルーツホットケーキを見てね」
「大暴れしてたよね」
「フルーツホットケーキか」
牧村もそれが何か知っていた。ホットケーキにフルーツの盛り合わせをかける。そうして食べるホットケーキなのである。それのことだ。
「あれにか」
「うん、怒鳴り散らして酷かったんだ」
「もうね、あんまりにも酷くて」
「僕達がつまみ出したんだ」
「そうしてやったんだ」
妖怪達は顔を顰めさせて話す。
「何でも弁護士らしいけれどね」
「とんでもない奴だったよ」
「弁護士か」
ここで博士が困った顔で話した。
彼はだ。今度はこう言うのだった。
「どうもなあ。我が国の弁護士はのう」
「質悪いの多くない?」
「そうだよね」
妖怪達は曇った顔で話す。
「何か変にね」
「そういう人間多いよ」
「これって日本だけ?」
「そうなのかな」
「日本だけとは限らんじゃろうが」
それでもだと。博士は濁ってしまった言葉で述べry。
「それでも。どうものう」
「そうした人間が多いんだね」
「それは否定できないんだね」
「どうしても」
「そうじゃ。残念じゃがな」
それでもだというのである。
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