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髑髏天使
第五十四話 邪炎その二十一
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婆がその死神に問うた。
「やがてまた敵となる相手とじゃ。共に食べるか」
「構わない」
 彼もだ。迷いなくこう答えたのだった。
「それではだ」
「いいのじゃな」
「そうだ、それでいい」
 また語るのだった。
「少なくとも今は敵ではない」
「敵ではじゃな」
「だからだ。それはいい」
 こう話す。そしてだった。
 全員でだ。一つになった。そのうえでだ。
 それぞれ食べる。そうしたのである。
 そしてそのうえでだ。牧村はその場でだ。魔神達に言うのだった。
「こうして食べるのもだ」
「美味しくないとか?」
「いや、美味い」
 こうだ。子供に対して述べたのだった。
「実にだ。美味い」
「そう、美味しいんだね」
「美味い。敵同士だが。共に食べてもな」 
 その顔はいつもと同じ無表情だ。しかし緊張の色はなかった。
 緊張のないままにだ。彼は静かに話したのだった。
「美味いものだな」
「美味いか」
「そうだ、美味い」
 また言うのであった。
「実にな」
「そうか。それではだな」
 今度言ったのは大男だった。彼もまたアイスを食べている。大柄でいかつい外見にはアイスは一見不似合いだ。しかしそれでいてだった。
 妙に絵になっていた。その彼が話すのだった。
「今は共にな」
「食べるか、こうして」
「それもまた、だ」
 こう話してだった。彼等は共にアイスを楽しむのだった。
 今はそうしてだ。戦いを離れてだ。共にいるのだった。


第五十四話   完


              2011・3・2
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