第五十四話 邪炎その十九
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「戦った相手に対するだ」
「それなのだ」
「礼儀か。そういうものがあるのだな」
神の言葉ははじめて知ったというものだった。
それを聞いてからだ。彼はあらためて話した。
「それは知った」
「知った、か」
「学んだとは言わないのだな」
「混沌の世界にはそうしたものはない」
その学ぶということもだというのだ。
「それもまた、だ」
「だからか」
「学んだとは言わないのか」
「それが混沌か」
「混沌の世界なのか」
「混沌の世界には人はいない」
そのこともだった。神は話したのだった。
「そして魔物や妖怪達もだ」
「だからね」
キリムがそれを聞いて述べた。その七つの頭でだ。
「文化やそうしたものも存在しないのね」
「文化。知らないものだ」
実際にそうだと話すのであった。
「文化か。それに」
「文明もだな」
ワーウルフだった。彼の言葉だ。
「そうしたものは一切だな」
「混沌にあるものは混沌だけだ」
前に見ても一体何を見ているのかわからない、そうした世界だけがあるというのだ。それこそが混沌の世界だというのである。
「それだけだ」
「人も魔物もいない」
「妖怪もまた」
「いるのは混沌の住人だけ」
「そうした世界なのね」
魔神達はそのことがあらためてわかった。だが、だった。
わかりはしたがそれでもだった。受け入れられるものではなかった。
それでだ。彼等ははっきりと言うのであった。
「そんな世界はお断りだね」
「そうだな。そこには我等の求める楽しみがない」
「そうした世界にいるということはだ」
「耐えられないわね」
「まさにね」
こう話すのだった。彼等は完全に否定していた。
そのうえでだ。あらためてだった。その混沌を否定してだった。
「そんな世界にいたくはないですね」
「僕達がいていいという訳でもないようだし」
「それならな」
「そんな世界を実現させるなぞ」
「考えたくもない」
こう話すのであった。そのうえで彼等もだった。
赤と青の炎に包まれていく神を見届ける。そうしたのだった。
神はやがて二色の炎に包まれ。そしてだった。
その中に消えた。完全にだ。
戦いはこれで終わった。世界は元に戻った。
それと同時に髑髏天使達は元の世界に戻った。あのアイスクーム屋の前にだ。
そこに出るとだ。魔神達もだ。
既に人間の姿になっていた。そのうえでだった。
アイスクリームを受け取る。そうしてそれぞれ食べはじめる。
「美味ですね」
「そうだな」
青年が老人の言葉に応えていた。コーンの上の丸いアイスを食べながらだ。
「アイスだけでなくな」
「トッピングもいいですね」
「こうしたものが食べられるのもだ」
「文化あってですね」
老
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