第五十四話 邪炎その十二
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「そうした言葉は本当に」
「何の面白みもない」
こう言う老婆であった。
「楽しくとも何ともないわ」
「楽しみか」
「御主等にはわからぬか」
「そんなものは知らない」
男はその通りだと述べた。
「混沌の世界にはだ。そんなものはない」
「やはりですね」
「そうじゃったな」
その言葉を聞いてだ。老人と老婆が述べた。6
「貴方達にあるのは破壊と混沌ですね」
「それだけじゃな」
「そうだ。その他のものは不要だ」
こうまで言うのであった。男もだ。
「我等にとってはだ。そうしたものはだ」
「不要か」
「そうだ。我々は人間でも魔物でもない」
「妖魔だな」
「そうだ、妖魔だ」
まさにその通りだとだ。牧村に話すのだった。
「妖魔にそうしたものはない」
「楽しみも遊びもか」
「戦いもだ。貴様等の戦いとは違う」
それもだ。これから行うそれも違うというのだ。
「我々は本能に従い戦う」
「本能か」
「我々にあるのはそれだ」
「それだけだな」
「本能以外にはない。それを言っておこう」
「混沌故だな」
どうしてそうなのか、死神が述べた。
「だからだな」
「如何にも。我々は混沌の存在だ」
「混沌には。文化や文明はない」
「そんなものは最初から存在しない。またあるものでもない」
全くだ。縁のないものだというのだ。
「それも言っておこう」
「そうか。だからこそこの世界をか」
「結果として滅ぼすことになる」
淡々とだ。彼等の望みも述べた。
「混沌と破壊に覆うからだ」
「では俺はそれを防ごう」
「私もだ」
牧村と死神の呼吸が合さった。そして。
魔神達もだ。ここでこう言うのだった。
「僕達もね」
「この世界を破壊されてはたまったものではない」
「だからこそだ」
「貴様を倒す」
こう話してだった。そのうえでだ。
男と対峙する。それを見てだった。
男はだ。その黒い目を光らせた。するとだ。
世界が一変した。人間と魔物、そして妖怪達の世界からだ。
あの混沌の世界に入った。今度の混沌は。
「炎か」
「今度はこの世界か」
「そうだ、混沌の炎の神」
男が周りを見回す牧村達に述べた。どす黒い炎もあれば不気味に青い炎もある。異様に白い炎もある。様々な色の炎がだ。渦巻き状に混ざり合っている。その炎の中がだ。その世界だった。
その世界の中を見回してだ。牧村は男に言うのだった。
「混沌の四元素。炎か」
「その神が貴様等の今回の相手だ」
「そうだな。名前は確か」
牧村がだ。その名前を今言った。
「クトゥヴァだったな」
「その通りだ。クトゥヴァだ」
男もその名前を言ってみせた。
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