第五十四話 邪炎その十
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そんな話をしてだ。牧村は店でアイスクリーム以外のことも学んだ。それは人生において重要なことだった。そうした話をしてからだ。
外に出た。そして一旦街に出てだ。あるものを買うのだった。
アイスクリームだ。洋菓子屋に入りそこでアイスクリームを買おうとする。しかしそこにいたのは。
彼等だった。誰もが牧村の姿を見てだ。楽しげに言うのであった。
「あれっ、君もなんだ」
「ここでか」
「アイスクリームを買うか」
「そして食うのか」
「そうするのね」
「アイスクリームは何の為にあるか」
牧村は店の前に集まる彼等に静かに述べた。
「食べる為だな」
「その通りです」
「言うまでもなくのう」
老人と老婆がそれぞれ彼に答えた。
「ですから我々もです」
「ここにいるのじゃ」
こう話すのであった。
「アイスクリームを食べる為に」
「皆でのう」
「その顔触れで集まるとな」
牧村は彼等のそれぞれ独特な外見を見回してだ。そのうえでまた言った。
「目立つな」
「ははは、そうかも知れませんね」
「それは否定せん」
老人と老婆は顔を崩して笑いそれを否定しなかった。
「それぞれ顔も服装も違いますし」
「それで十二柱も集まるとのう」
「目立ちますね」
「それもかなりじゃな」
「しかもだ」
牧村の指摘はまだあった。さらにだ。
「平日の昼間から。普通の男や女がうろうろしているのはだ」
「おかしいか」
「人間の世界ではそうなのね」
「その通りだ。普通は働いている」
今度は男と女に述べた。
「それも十二人。老若男女が揃うとじゃ」
「ないな」
「確かに」
今度は青年と紳士が述べたのであった。
「人間の世界ではな」
「そうそうな」
「目立つという他ない」
牧村はこうも告げた。
「どうしようもないまでにな」
「どうしようもないか」
ロッカーが牧村のこれまでの言葉を聞いて述べた。
「目立つのはだ」
「そうだ。だが遊ぶのならいいだろう」
「いいのか」
「遊ぶだけで暴れないのなら一行に構わない」
そうだというのである。
「全くな」
「目立ってもなんだ」
「目立つことは迷惑にはならない」
牧村はこう子供に話した。
「少なくともそれで誰かは死にはしない」
「そうだね。それは確かにそうだね」
「貴様等が遊んでいるとしてもだ」
その場合はだ。彼はどうかというのだった。
「俺は構いはしない」
「それはいいのですね」
「戦いでなければいい」
また言う牧村だった。
「貴様等は今は遊びたいだけか」
「そうですね。戦いよりもです」
老人が言った。このことをだ。
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