第五十三話 怪地その二十三
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そしてハーレーに乗りだ。牧村に告げた。
「ではだ。私もだ」
「帰り。落ち着くか」
「そうする。それではな」
「またな」
こうしてだった。彼等は別れた。牧村は家に戻り玄関から台所に向かった。そこで冷蔵庫を開ける。しかしそこにはそれはなかった。
彼はそれを見てだ。すぐにわかったのだった。
「食べたか」
「ああ、おかえり」
後ろからだ。妹の声がしてきた。
「どうしたの?アイス?」
「アイスキャンデーはないのか」
「全部食べちゃったわよ」
いつも通りの返事であった。
「もうね」
「食べたのか」
「アイスクリームならあるじゃない」
そちらはだ。あるというのであった。
「それ食べたら?バニラでもチョコでも」
「しかしアイスキャンデーはないのか」
「だから全部食べたから」
未久の返事は変わらない。実にあっけらかんとさえしている。
「もうないわよ」
「そうか」
「ないものを欲しがっても仕方ないじゃない」
このことは正論だった。とりあえずはだ。
「だから。それ食べたら?」
「アイスクリームか」
「うん。何ならコンビニで買ってきたらいいし」
「そこまでする気はない」
牧村はいささか憮然として述べた。そうしてだ。
アイスクリームの中からバニラを取った。それを手にして椅子に座った。
スプーンはもう持っている。それで食べはじめた。
美味いとは思った。しかしそれでもこう言うのであった。
「俺はだ」
「アイスキャンデーを食べたかったのね」
「何故いつもない」
妹に顔を向けて問う。能天気な調子で牛乳を飲んでいる彼女をだ。
「御前はいつも食べ尽くすな」
「だって好きだから」
悪びれることのない返事だった。
「その代わりアイスクリームはいつも置いてるでしょ」
「それはそうだがな」
「アイスクリームだって好きなのよ」
「俺もアイスキャンデーも好きだが」
「いいじゃない。お兄ちゃんにはアイスクリーム置いてるから」
「全く。勝手だな」
憮然とした声で妹に告げる。
「たまにはアイスクリームにしろ」
「じゃあアイスキャンデー食べてアイスクリームも食べるわね」
「太るぞ」
言葉が剣になった。
「そこまで食べたら」
「そう来るのね」
「太らなければ腹を壊す」
そのケースも言うのであった。
「どちらがいい」
「当然どっちも嫌よ」
「それならアイスキャンデーだけにしろ」
折れた形になっていた。妹の勝手な我儘にだ。
「仕方のない奴だ」
「まあまあ。アイスクリームでも食べて」
「そうだな。これは貰う」
「今度マジックでアイスクリーム食べようね」
未久は笑顔でこんなことも言ってきた。
「若奈さんと一緒にね」
「俺が作ったアイスをか」
「うん、そ
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