第五十三話 怪地その十八
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「そうすればいいのだからな」
「そう言うのだな」
「そうだ。貴様を倒す」
また言う髑髏天使だった。その両手の剣を掲げながらだ。
「ダイアにもだ。弱点はある」
「炎だな」
「ダイアは炭素の結晶だ。燃えるものだ」
この世で最も固いダイアも弱点はある。炭素の結晶であるが故に燃えるのだ。髑髏天使はそれを熟知してそのうえで述べたのである。
「だから貴様がダイアになろうとも」
「燃やすか」
「そうする。覚悟するのだな」
「私もだ」
死神も言ってきた。
「炎を操ることができる」
「それならばか」
「倒せる。必ずな」
「マグマに焼かれる前に我を焼くか」
神は二人の話を聞いたうえで述べた。
「いい考えだ。だが」
「だが。何だ」
「炎を防ぐことはたやすい」
こうだ。神は言い切ったのだった。
「実にな」
「たやすいというのか」
「炎を防ぐことはか」
「また言おう。たやすい」
また言う神だった。
「どうとでもなるものだ」
「まさか」
それを聞いてだ。百目が察したのだった。
「それは」
「察したか、魔神よ」
「ええ。貴方は今は」
「そうだ。炎で来るならばだ」
どうするかというのであった。そしてだ。
神はすぐにそうしてきた。まずは全身をダイアに変えた。白く輝く身体になった。それはこれまでとは違う光の姿だった。
だがそれは一瞬でだ。そのダイアの上にだった。
黒く蠢く泥を出したのだった。それでダイアを完全に覆ったのだった。つまり自身の全身をだ。泥で覆ってみせたのである。そうしたのだ。
「泥か」
「それで防ぐか」
「そうだ。泥ならばだ」
どうかとだ。髑髏天使達に述べるのだった。
「炎では焼けまい」
「確かにな」
「考えたものだ」
髑髏天使も死神もだ。それを認めた。
「そうするとはな」
「確かに炎はそれで防げる」
「さて、どうする」
泥で覆わせた身体でだ。神は問うた。
「それではだ」
「だがそれでもだ」
「倒す」
髑髏天使達の言葉は変わらなかった。そしてだ。
魔神達もだ。こう言うのだった。
「我々もだ」
「これで諦めたりはしない」
「絶対にね」
これが彼等のここでの言葉だった。
「貴様もまた倒す」
「そうさせてもらうぞ」
「その言葉は聞いた」
それはだというのだ。
「だが、だ」
「倒せはしない」
「そう言うのだな」
「その通りだ。我は容易に倒せはしない」
神はまた言った。
「炎が通じない。それでどうして倒すつもりだ」
「確かにそうですね」
百目が述べる。その無数の目から光を放つ。それで神を攻撃するがそれもだ。泥によってあえなく防がれていた。そうしながらの言葉だった。
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