第五十三話 怪地その十四
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「そして貴様等の魂を刈る」
「だからこそだな」
「そうだ。では、だな」
「役者は揃ったな。いや」
男の言葉が止まった。一旦だ。そしてそれからだった。
やはり頭を動かさずにだ。今度は上にいる彼等に対しての言葉だった。
そこにいたのはだ。魔神達だった。彼等は宙に立ちながらだ。そのうえで男の言葉を受けていた。
「それは今ようやくか」
「はい、そうですね」
小男が男のその言葉に応えた。
「そうなります」
「さて、それではじゃ」
今度は老婆が男に告げる。その黒い男にだ。
「わし等は今度もじゃ」
「我等と戦うか」
「そうさせてもらう」
こう男に言うのだった。
「それでよいのう」
「拒むことはしない」
これがその男の返答だった。そうするというのだ。
「戦いたいというのならだ」
「わかりました。それでは」
老人が応えた。そうしてだった。
彼等が全て揃ったところでだ。男が右手を掲げた。
すると世界が変わった。これまでの人間の世界からだ。あの混沌の世界になったのだ。
世界はまたしても異様なものだった。毒々しい赤や青、それに緑や黄色の様々な大地が上下左右にある。空もまた大地になっている。
その世界になっていた。牧村や死神、魔神達はその世界の中で男と対峙していた。
そしてだ。男が彼等にあらためて言ってきた。
「ここだ」
「ここか」
「今度の戦いの場は」
「そうだ。混沌の大地だ」
それだとだ。男は牧村と死神に答えたのだった。
「ここにいるのはだ」
「大地の神ですね」
老人が答えた。
「混沌の大地の神。その名は」
「ツァトゥヴァという」
男がその神の名を言った。
「それがその神の名前だ」
「名前はわかったわ」
女が応えた。
「それでその神は何処かしら」
「もういるんだよね」
子供は周囲を見回してこう男に問うた。
「そうだよね、もう」
「その通りだ」
男もそれを認めて言ってみせたのだった。
「神は既にいる」
「大地か」
青年は目で周囲を見回していた。その上下左右に広がる極彩色の、胸が悪くなるような色彩の大地をだ。それを見回してであった。
「それならばだな」
「我はもういる」
男とは別の声であった。
「ここにだ」
「では姿を見せろよ」
ロッカーは首を左右に動かしながらその声に返した。
「待ってるんだからな」
「待っているのか」
「姿を見せずに戦うってのか?」
声に対して挑発する様にしてまた言うロッカーだった。
「それはまた無礼な話だな」
「混沌の中に礼儀なぞない」
まずはこの言葉が来た。
「混沌のやり方があるだけだ」
「混沌のね」
「そうだ。そちらの世界と混沌の世界は違うのだ」
声はこう言うのだった。
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