第七話 九階その十三
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「他にも色々とね」
「用意しておくから」
「頼む。では」
「何かさ。牧村さんもね」
「そうだよね」
「俺が。どうした?」
妖怪達の言葉に顔を向けた。
「いやさ、結構以上に」
「人間味があったんだね」
「人間味!?」
「だってねえ」
「そうだよね」
牧村が問うとここでそれぞれの顔を見合わせる妖怪達だった。
「無愛想だしね」
「言ったら悪いけれど」
「話し方だって無機質な感じだし」
「これは生まれつきだ」
やはり無機質な感じの言葉は変わらない。
「悪いがな」
「まあそれは聞いてるけれど」
「それでもさ」
「だよね」
そしてまた顔を見合わせていた。
「どうしてもそんな感じが」
「否定できないし」
「俺も人間だがな」
「いや、そういう感じじゃなくて」
「機械みたいな感じがしたから」
彼等が言うのはこういうことだったのだ。
「そういうこと。わかってくれた?」
「まあとにかくね。今度来たら果物をさ」
「用意しておくから」
「ああ」
静かに妖怪達の言葉に頷く。
「わかった。ではな」
「またね」
「楽しくやろうね」
こう話を交えさせて場を後にした。牧村はその場を後にするとそのまま大学の図書館に入りカバラについて調べた。しかし結局何もわからないまま図書館を後にした。そしてサイドカーで帰路についているその時だった。
不意に横にバイクが来た。見れば紅いライダースーツを着て赤いヘルメットを被っている。スーツからはっきりと浮き出ているものとヘルメットからこぼれている長い黒髪から女であるとわかる。その女は牧村の横に来て声をかけてきたのであった。
「髑髏天使」
「むっ!?」
「そうね」
笑みを含んだ声で彼に言ってきた。
「貴方が今のね」
「魔物か」
「生憎だけれどそうじゃないわ」
顔を正面に向けたまま、声だけを彼に向けてきていた。
「私はね。魔物とはまた違うわ」
「では何だ」
「この前老人に会ったわよね」
女は今度はこう言ってきた。
「そうよね」
「それがどうかしたのか」
「それよ」
「それ!?では貴様は」
「ええ。同志と言うのかしら」
ヘルメットのバイザーの奥の目が光っていた。黄色い禍々しい光であった。
「人間の言葉だとね」
「一体何の用だ」
牧村は女の素性をある程度知ったうえで彼女に問うた。
「俺と。闘うというのなら」
「今はそのつもりはないわ」
相変わらず笑みを含んだ声であった。
「今はね」
「そうか。今はか」
「それよりもよ」
また言ってきた。
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