暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第五十三話 怪地その六
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「身体中カビだらけになるんだ」
「やはりそうか」
「うん、それわかったんだ」
「カビが生えるまではわからなかった」
「けれど何かあるのは」
「それはわかった」
 そうだったというのである。
「察した」
「凄いね、その勘は」
「妖怪は楽しむものだな」
「そうだよ。それはもうよくわかってくれてるし」
「それだ。それでだ」
 また言う牧村だった。
「それでだ。その豆腐が楽しみで差し出したならば」
「絶対に何かあるっていうんだね」
「毒はあるとは思わなかった」
 それはなかったというのだ。
「だがそれでもだ」
「うん、毒は無いけれどね」
 豆腐小僧もそれは保証する。
「けれど。そういうことだから」
「仕掛けてあったか」
「その通りだったんだ。豆腐小僧はそうしてカビだらけになるのを見て楽しむんだ」
「悪戯か」
「別に悪質な悪戯じゃないよね」
 そのことは牧村にも確認した。
「そうでしょ、別に」
「いや、カビだな」
「うん、カビだよ」
「結構悪質だと思うが」
 牧村は実際に彼にこう言った。
「後で始末が大変だからな」
「ああ、お風呂で身体を拭けばそれで落ちるから」
 それだけでだというのだ。妖怪は笑いながらこう話した。
「それか乾燥させたらね」
「それだけで終わりか」
「別にインキンとかタムシにはならないから」
 その心配はないというのである。
「だからね。安心していいよ」
「そうか。それならな」
「特に悪質じゃないでしょ」
「インキンやタムシにかかったことはない」
 牧村はだ。その経験はなかった。
「だが辛いらしいな」
「水虫もそうらしいのう」
 博士はこの病気の話もしてきた。
「昔よく聞いたわ」
「昔か」
「そうじゃ。軍隊では付きものじゃからな」
 それでだというのだ。とにかく軍においてはインキンに水虫は付きものである。それからはどうしても離れられない組織なのである。
「特に海軍さんはそうじゃった」
「今で言う海自だな」
「海自さんもそうらしいがのう」
 結局名前だけ変わっても働く場所は変わらない。それではだった。
「インキンに水虫はじゃ」
「切っても切れない縁にあるか」
「職業病じゃ」
 そこまで至るというのだ。
「あそこではな」
「そうだったのか」
「だから自衛隊も自衛隊で大変なのじゃ」
 また言う博士だった。
「痒さとの勝負じゃ」
「僕そこまでしないから」
 豆腐小僧がここでまた言った。
「インキンなんて酷い病気にはさせないから」
「それはか」
「うん、ただカビだらけにするだけ」
 まさにそれだけだというのである。
「そんなのになったら大変だよ」
「そうそう。三年苦しむってね」
「そこまでいくからね、インキンと水虫っ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ