第五十二話 死風その十五
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「さもないと。お互いに生き残れませんから」
「それでか」
「御嫌でしたらいいですが」
「好きにするといい」
牧村は断る言葉は出さなかった。かといって受け入れる言葉でもなかった。こうしてだ。突き放しはしているが否定もしない言葉を述べるのだった。
「貴様等のな」
「はい、ではそうさせてもらいます」
「それではだな」
「また。御会いしましょう」
こうしてだった。魔神達は消えるのだった。そしてだ。
二人だけになった牧村と死神はだ。今度はお互いに話すのだった。
「それではだ」
「私達もだな」
「帰るとするか」
「そうだな。今回の戦いは終わった」
それは間違いなかった。
「それではだな」
「ここにいる理由もなくなった」
二人で話していく。言葉のやり取りは今は素っ気無い感じになっていた。戦いが終わった後の緊張が解けた感じがそうさせているのだ。
「それではだ」
「帰るだけか」
「帰り。そして」
牧村はそれからのことも死神に話した。
「休ませてもらう」
「今はそうするか」
「また戦いがある」
それは既にだ。決まっているといった口調だった。
その言葉を出してからだ。牧村はまた言った。
「それならだ」
「そうか。では私もだ」
死神の前にハーレーが来た。彼はそれに乗った。
ヘルメットを被りだ。そのうえでまた牧村に対して告げた。
「これでだ。帰ろう」
「貴様のその世界にか」
「そこで休ませてもらう」
こう言うのであった。
「よくな」
「ではそうするのだな」
牧村の前にもサイドカーが来た。彼もそれに乗った。
そのうえでだ。彼もヘルメットを被った。そうしてだ。
「次の戦いの時にだ」
「まただな」
こう話してだ。それぞれ去るのであった。
牧村は家に戻った。するとだ。半ズボン姿の未久が出迎えてきた。彼女はすぐに兄に対して挨拶の言葉をかけてきたのだった。
「御帰り、お姉ちゃん」
「何だ、その服は」
半ズボンは黒である。そして上は体操服だ。つまり彼女は中学の体操服を家の中で着ているのだ。それは牧村もよく知っている体操服だった。
「中学のあれか」
「お兄ちゃんの時からこれだよね」
「そうだ。しかし」
「何でお家で着てるかっていうのよね」
「それは何故だ」
実際にそのことを問うた牧村だった。
「今ここでそれを着ているのは」
「うん、実はこの体操服ね」
「何かあるのか」
「新品なの」
そうだというのである。
「それでちょっとサイズ確かめてたのよ」
「それで着ているのか」
「ぴったりよ」
未久はにこりと笑って述べた。
「私にね。丁度いいサイズよ」
「そうか。丁度いいか」
「大き過ぎないし」
小柄な彼女はまずそれを気にしたのである。
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