第五十二話 死風その八
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「どのみち貴様等魔神も敵だ」
「その通りですね」
「この世を混沌で覆うには貴様等も倒さなくてはならないのだからな」
「私達もそれをわかっていますので」
その通りだと返す老人であった。
「ですから」
「ここに来たのか」
「髑髏天使、死神とは今は休戦です」
老人はこうも言った。
「そのうえで貴方達を倒します」
「休戦か」
それを聞いた死神が言うのだった。
「思わぬことだな」
「確かにな」
髑髏天使もそれに続く。
「貴様等とは果てしなく戦うつもりだったがな」
「私達も最初はそのつもりでした」
また言う老人だった。
「ですが状況が状況ですから」
「だからか」
「それでか」
「はい、そしてです」
老人はまた彼等に言う。
「私達もということなのです」
「俺達と共に戦うか」
「混沌の神々と」
「うん、それじゃあ」
子供の言葉だ。
「僕達の真の姿を出そうか」
「そうね。それじゃあね」
「長い間見せなかったその姿をだ」
女と男も言ってきた。
「では今からね」
「そして真の力も出そう」
彼等の姿が変わった。全員のそれがだ。
まず老人は全身に無数の目を持つ異形の存在になった。青年は八本足の蜥蜴に、そして子供は蝙蝠と人を合わせた姿にだ。
それぞれなっていく。まさに魔物の姿になっていたのであった。
老人、百目はだ。そのうえで二人に言ってきた。
「縁後は私達がします」
「貴様等がか」
「はい、ですから戦いに専念して下さい」
「そういうことよ」
「貴様等は思う存分戦うのだ」
女、黄金の九尾の狐と男、凍った巨大な痩せた屍も言ってきた。
「いいわね」
「そうするのだ」
「礼は言わない」
髑髏天使が言葉を返した。
「それはな」
「そんなのどうでもいいんだよ」
ロッカー、狼男が応えたのだった。
「こっちはこっちの事情で動いているんだからな」
「そちらのか」
「あくまでそうか」
「そうだ。それは断っておく」
吸血鬼、紳士であった。
「あくまで休戦だ」
「けれどね」
美女はだ。七つ頭の恐竜に似た姿、キリムだった。
「今は一緒に戦うわ」
「さもなければ倒せはしない」
足の場所に手があり足の場所に手があり背中と腹も逆になっており首のところに脳天がある。その異様な姿は逆さ男、大男であった。
「だからこそだ」
「そういうことじゃ」
仙人は牙の生えた鬼であった。ヤクシャだ。
「わかったかのう」
「それではです」
小男は七色に輝く蛇、虹蛇の姿である。
「私達もその妖魔の神と戦います」
「いいね、それで」
少年は蝙蝠と獣、人が合さった混沌とした姿、それがクマゾッツの姿であった。
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