第五十二話 死風その四
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「そう考えている」
「わかった。それではな」
こんな話をしてであった。彼は講義に向かおうとする。だが。
博士の研究室がある校舎を出て木々が左右に並ぶ道を歩いているところでだ。彼が来たのであった。
死神はだ。すぐに牧村に対してこう言ってきた。
「ではだ」
「今からか」
「そういうことになる」
こう彼に言うのであった。
「用意はいいか」
「俺は髑髏天使だ」
牧村はこれを返答にした。
「戦いならば何時でもだ」
「そういうことだな」
「ではだ。行くとするか」
「いや、行く必要はない」
牧村が促したが死神はそれを否定した。
「ここで戦うことになる」
「ここでか」
「そうだな」
死神は牧村に告げてからその牧村の背中の方を見て告げた。
「その通りだな」
「そうだ」
男がいた。彼は死神の問いにすぐに答えてみせた。
「ここから異世界に入ってだ」
「そうして戦うそうだ」
「いつも通りだな」
牧村は背中越しに男を見た。そのうえで言うのであった。
「それは」
「確かにな。最近の戦いはそうだな」
男もそれは否定しない。
「何なら他の場所で戦ってもいいが」
「それはいい」
「いいというのか」
「例え何処であってもな」
それでもだとだ。牧村は男に完全に向き直ってから述べた。
「俺は勝つ」
「だからか」
「そうだ。だからこそ戦う場所は何処でもいい」
「わかった。それではだ」
「案内するのだな」
牧村から男に告げた。
「その戦場にだ」
「それではだ。行くとしよう」
「よし、じゃあ僕もね」
目玉もここで出て来て言う。
「行かせてもらうよ」
「貴様もか」
「僕と死神は一心同体だからね」
それでだと。牧村に対して返すのだった。
「だからだよ」
「死ぬかも知れないのにか」
「えっ、死ぬって!?」
「今度の相手は今までとは違う」
牧村はその目玉に言うのである。
「死ぬ危険も充分にある」
「そんなのどうでもいいよ」
「どうでもいいのか」
「そうだよ。死ぬのならね」
そしてだ。目玉はこう牧村に言うのであった。
「一緒だからね」
「だからか」
「そう、生きるのも死ぬのも一緒だよ」
「それで今も共に行くのか」
「だから。一心同体だから」
だからこそだとだ。これが今の目玉の言葉だった。
「それでなんだよ」
「言うものだな」
「うん、言うよ」
実際にそうだとだ。目玉はまた言ったのだった。
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