第五十一話 解放その十五
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「風のハストールだ」
「ハストールか」
「そうだ、覚えておくのだ」
それだというのである。
「風はそれだ」
「では次は火だ」
「火を知りたいのか」
「そうだ、火は何だ」
髑髏天使がそれを問う。
「それは」
「クトゥヴァだ」
この神の名前が出された。
「地はツァトゥヴァ。風はハストゥール」
「まだ問うていなかったが」
「先に言わせてもらった」
男は臆面もなく髑髏天使に返した。
「そうさせてもらった」
「そうか」
「そういうことだ。この四つだ」
また言ってきた男だった。
「さて。その四柱の神々でだ」
「俺達をか」
「倒すのか」
「そうだ、倒す」
こう告げてきた。男は今度はそうしてきたのだ。
「貴様等をな」
「果たしてそれができるか」
「我々に」
「自信を見せるのだな」
男は嘲笑しなかった。表情を変えていない。
その表情のないままでだ。彼はさらに話すのだった。
「だがその自信がだ」
「最後まで続くか」
「そう言いたいのだな」
「その通りだ。この四柱の神々は違う」
彼は言い切る。
「これまでの神とはな」
「そこまで言うのなら見せてもらおう」
髑髏天使が言ってきた。今度は彼がだった。
「その連中の強さをな」
「また会おう」
男はここまで話したところでこう返した。
「次に会う時にだ」
「その神の一柱がだな」
「我々の前に出て来るか」
「そういうことだ。ではだ」
男の姿が消えていく。後に残ったのは。
混沌の世界も消えていた。何も残っていなかった。
残っていたのは二人だけだった。髑髏天使がまずだった。
牧村に戻った。それから話すのだった。
「遂にという感じだな」
「そうだな」
死神も既にだった。元の姿に戻っていた。漆黒のライダースーツの姿でだ。そこにいるのだった。
「四柱か」
「奴等を倒してからだな」
また言う牧村だった。
「あの男を倒すのは」
「そしてだ」
死神も彼に言葉を返す。
「その先にだ」
「二柱だな」
「混沌の中心にいる神々だ」
「奴等を倒せば終わりか」
牧村の目が鋭くなる。語るその目がだ。
「この戦いも」
「そうなるだろう。だが、だ」
死神もだ。その目の光を強くさせていた。そのうえでの言葉だった。
「これからの戦いは」
「これまで以上に激しい戦いになる」
「そういうことだ」
彼が言いたいのはそういうことだった。まさにそれであった。
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