第6話 山賊狩りの正体
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しかし、職務上どうしても都市の警備に力を割かざるおえないです。
結果、都市から離れた農村の警備は無視しているに等しいです。
仮に、農村で山賊の襲撃があっても、救援が着く頃にはその農村は壊滅しています。
「では、何故これほど山賊達がはびこっているのですか!私がどれほどの山賊を殺してきたとお思いですか!農村に住む者が、山賊の脅威に怯え毎日を送っている現実を知っていますか!私が山賊達を殺し続けねば、死ぬ必要のない者が死んでいました!父上にとって守るべき民は、都市に住む者だけなのですか?都市に住まぬ者は守るべき民ではないというのですか!」
「う、それは・・・」
父上は私の言葉に言葉を詰まらせました。
「そこまでじゃ、正宗よ。お前の想いは良くわかった。その想いは尊いものじゃ。じゃがな・・・。お前は聡い子じゃ。ならば分かるであろう。税収には限りがあり、軍備にも限りがあるのじゃ。その上で最善を尽くすのが政というものじゃ。卑怯な言い方かもしれぬが、大人の世界とはそういうものじゃ。何もお前の父は見て見ぬ振りをしているわけではないのじゃぞ。父とてきっとお前と同じ気持ちじゃと思う。それでも悩みながら政をしているのじゃ。故に、父をそう責めるでない。それにお前がやっていたことを正統化することにはならんぞ。何処の世界に、年端の行かぬ子供に、賊とはいえ人を殺すことを勧める親がおろうか」
お爺々様は、いつもの好々爺な顔とは違い真剣な顔で私に語りかけました。
流石、お爺々様です。
完全に話の主導権を持っていかれています。
年の功ってやつですか。
私に非があることは間違いないので、ここは素直にあやまるしかないようです。
「父上、母上、ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」
私は頭を下げて謝りました。
「ほれ蔵人よ、正宗も反省しているようじゃ。過ぎたことを言ってもせんなきことじゃ。もう、許してやってはどうじゃ?」
先ほどから黙っていた父上は、お爺々様に促されて話しだしました。
「・・・。今回は、父上の顔を立てることにしよう。私は大守としてお前の行動を褒め讃えなければならないのであろうな。しかし!この馬鹿者がっ!親に黙って何と言う危険なことをしていたのだ!死んでいたかもしれないのだぞ!」
父上は言い終わる前に、私の頭の拳骨で殴ってきました。
「い、痛だぁーーー。痛いではないですか、父上!」
「あたりまえだっ!これでも甘いくらいだ!」
父上を見上げると、私を見ながら泣いていました。
これでは私は何も言えません。
「父上も私もあなたのことを愛しているのですよ」
母上が私を包み込むように、私の背中から抱きしめてきました。
「次からは、悩み事があるなら一
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