第五十一話 解放その十一
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伸びてだ。それで髑髏天使と死神を襲うのだった。
「むっ」
「そう来るか」
二人はすぐにその場所を飛び退いた。それぞれ左右にだ。
そしてそのうえでだ。両者は互いに分身してみせた。十体ずつだった。
「死神は知っていたが」
「髑髏天使もか」
「分け身ができるか」
「そうだったのだな」
「その通りだ」
こうだ。髑髏天使も返すのだった。
「こうしてできるようになったのだ」
「それだけの力がある」
「だからだな」
「備わっているのか」
「そういうことだ」
髑髏天使の一体が答えた。
「術は死神と同じだ」
「それぞれの俺がそれぞれで動く」
「それも言っておこう」
「見事だ」
「確かにな」
「そこまでできるとはな」
ヒドラの頭達が口々に述べてきた。
「倒しがいがある」
「それもかなりだ」
「実にいい」
「倒しそのうえでだ」
彼等はだ。髑髏天使、それに死神を見据えながらだ。そのうえで言葉を続けていく。言葉を続けながらだ。彼等の隙を窺うのも忘れていなかった。
そしてだった。その彼等はだった。
九つの頭をそれぞれ伸ばし髑髏天使達を分身ごと襲っていく。その中でこう言ってみせるのだった。
「さて、それではだ」
「何時まで逃げられる」
「そうしてな」
「何時までだ」
「何ならだ」
頭の一つが言ってきた。
「神の頭を落としてみるか」
「そうしてはどうか」
「是非な」
「生憎だがな」
他の頭も続く。だがここで死神が言うのだった。無論彼もまた分身を使っている。それぞれが神を見据えて宙を漂っているのだ。
「それはしない」
「わかっているからだ」
「既にな」
「この神のことをだな」
神の頭の一つがすぐに返してきた。
「そうだな」
「ヒドラの頭は一つを落とせばだ」
「そこから二つ生える」
「落とせば落とすだけだ」
「こちらが不利になる」
それを知っているからこそだ。死神は攻めないのだった。
そしてだ。髑髏天使もそれぞれ言うのだった。
「そして貴様は唯のヒドラではない」
「その切り跡を焼くのも通じないな」
「そうだな」
「如何にも」
その通りだとだ。すぐに返答が来た。
「神はその程度では動じない」
「そこからもまた生える」
「首はそこから幾らでも生える」
「焼こうか凍らそうがだ」
どちらでもだというのだ。通じないというのである。
「そんなことでは何ともならない」
「それを言っておく」
「ではだ。いいな」
「それではだ」
「倒させてもらおう」
勝利を確信した言葉であった。また頭達が伸びて彼等を襲う。
分身達は一体、また一体と倒され消えていく。そうして。
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