第五十一話 解放その八
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「本当に幾らでもあるから」
「未久の分もだな」
「ええ、だからね」
「わかった。ではな」
「どんどんね」
こうした団欒の生活も過ごしていた。彼にとってはかけがえのない時間があった。しかしそれが中断されるのが今の彼だった。
朝だった。学校に行こうとするその時にだ。サイドカーの横に彼が来た。
「貴様か」
「久しいか」
死神だった。学校へ行く途中の道を進んでいる時に彼がハーレーに乗ってそのうえで彼の横に来てだ。声をかけてきたのである。
「こうして会うのは」
「いや、そうは思わない」
「ここに戻ってからははじめてだったな」
「それはそうだな」
このことは牧村も頷く。死神は今彼の右隣に来ていた。
「神戸に戻ってから貴様と会うのはな」
「それでだ」
死神は話を本題に持って来た。ヘルメットの中の表情は見えない。
「私が来たといことはだ」
「戦いか」
「来るぞ」
前を見てだ。牧村に言うのだった。
「このままな」
「前に来るのか」
「そうだ、今だ」
この言葉が出た瞬間にであった。
二人は乗っているそれぞれのバイクごとある場所に来た。そこは。
黒と紫が不気味に重なり合い蠢き合っている空間だった。二人はそこに来たのであった。
そしてその空間にだ。あの男が立っているのであった。
「今度はここか」
「この空間で戦うのか」
「そういうことだ」
その通りだとだ。男はこう二人に話してきた。
「ここもまただ」
「混沌か」
「その中にある場所だな」
「如何にも。混沌の世界は様々な場所がある」
その通りだとだ。男はまた二人に話した。そしてであった。二人に対してあらためてこう言うのであった。
「ではだ。はじめるとするか」
「そうだな」
「ではな」
バイクは既に停めている。いや、いなかった。速度はそのままだがだ。前にいる男に何時までも追いつけずだ。空間の中を走り続けているのであった。
その異様な状況の中でだ。牧村が男に問うた。
「これもまた混沌故か」
「混沌は貴様等の世界とは違う」
事実そうだというのであった。
「全くな」
「だからこうしたこともか」
「あるというのだな」
「そうだ」
また答える男であった。
「それを言っておこう」
「理屈はわからないが事情はわかった」
「それはな」
こう返す二人であった。そのうえでだった。男にさらに問うのであった。
「そして聞くがだ」
「次の神は何だ」
「それか」
「俺達を何故ここに呼んだか」
「それは戦う為だな」
「如何にも」
男はにこりともせずに答えた。
「その通りだ」
「そういうことだな」
「それではだな」
「では呼ぼう」
こう言ってだった。男の背中にだった。
九つの首を持つ大蛇が出て
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