第五十七話 兄と妹(後編)
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こにない者がいても仕方のないことだ」
彼女は二人を見てはいなかった。別のものを見ていた。
「これから我等の大義を実現させる為にはそうした者は去った方がいい」
「左様ですか」
「だからこそ彼等を追わないのですね」
「今度出会う時は敵だとしてもな。その時は倒すだけだ」
その言葉に剣を含ませた。
「いつものようにな」
「わかりました」
「それでは引き続き今ある戦力を降下させていきます」
「うむ」
ハマーンはそれを聞いて頷いた。
「去る者は追わずだ。よいな」
「はい」
こうして二人はハマーンの側から離れた。そしてハマーンはまた一人になった。
「御前と同じだな」
一人になると何かを呟いた。
「シャア」
そして今では消えた名を呟いた。
「御前も追えなかったのだ。それでどうして他の者を追うことができる」
だがこの呟きは地球の青の中に消えてしまった。それを確認したのか彼女は自分の中から戻り指示を下した。
「モビルスーツ部隊全軍降下用意!」
集結する各艦にそう伝えた。
「防衛は木星トカゲによって行う!他の者は全て地球に降下せよ!」
その声は鋭利で張りがあった。ハマーンは普段の、ネオ=ジオンの摂政としてのハマーンに戻っていた。
「地球に降りたならばダカールに向かう。よいな」
「ハッ!」
各部隊の指揮官達がそれに頷く。そして戦いへの決意を強める。
「では降下用意が整い次第それぞれ降下する。健闘を祈る!」
地球はそんな彼等を何も言わず見詰めていた。その目は青かった。だが誰も知らなかった。その目は時として燃え、赤くなるということを。
第五十七話 完
2005・12・1
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