第五十六話 邪魔大王国の最期(前編)
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」
「済まないな。いつも」
ゼンガーはそう言ってあらためて二人に顔を向けた。
「何かと。迷惑をかける」
「いえ、そんなこと」
「俺達の方こそ」
二人はゼンガーにそう言われてかえって照れてしまった。
「いつも助けてもらってるし」
「困った時はお互い様ですよ」
「それでは頼むぞ」
「はい」
二人は頷いた。
「あの女とはここで決着をつける」
「邪魔大王国とも」
「うむ」
ゼンガーも頷いた。
「では今は帰ろう。戦いはまだある」
「はい」
「そして。次の戦いで」
「やりましょう」
「三人で」
彼等は誓い合った。今三人の心が繋がった。それは戦いに向かう戦士としての?がりであった。今クスハもブリットもようやく真の意味で戦士となったのであった。
戦いはロンド=ベルの圧勝であった。地形を上手く活用したことと新型のマシンの活躍によるところが多かった。邪魔大王国は三人の幹部と多くの戦士達を失った。最早その衰退は決定的なものとなってしまったのであった。
だがそれでも戦いは終わったわけではなかった。それはロンド=ベルもよく認識していた。
「また来るな」
宙が大空魔竜のリビングルームで言った。
「残った戦力でな。まだ戦いは終わっちゃいない」
「やっぱりかなり詳しいね」
万丈がそれを聞いて宙にこう返した。
「邪魔大王国のことはやっぱり君が一番よく知ってるね」
「ああ」
宙は万丈の言葉に頷いた。
「この身体になったのも。あいつ等のせいだからな」
「彼等の」
「俺は最初は人間だったんだ。純粋な」
宙は語りはじめた。
「だが親父によって改造されたんだ。サイボーグに」
「邪魔大王国と戦う為にかい」
「そうさ。そして銅鐸を守る為に。俺は邪魔大王国と戦う為に人間じゃなくなった」
そう語る声は内容に反比例してふっきれたものであった。
普通の者であれば奇異に聞こえるものであった。しかし万丈は違っていた。表情を変えることなく普段の様子のままで聞いていた。
「最初は。悩んだものさ」
「そうだろうね」
「親父も恨んだ。憎んださ。しかしそれしかないとわかった」
「君が邪魔大王国と戦うしかないってことに」
「そしてヒミカを滅ぼした。ロンド=ベルにも入った」
「ふん」
「今の俺がここにいるんだ。その結果な」
「その間色々悩んだのだね」
「ああ。わかるか」
宙は万丈の顔を見ながら言った。
「色々と恨んだり憎んだりしたがな。だけど今はどうでもいい」
「君が鋼鉄ジーグであること、そして心が司馬宙であることは変わらないのだからね」
「俺はわかったんだ。心が問題だってな」
「そう、心だね」
万丈は頷いた。
「俺は身体はサイボーグになった。しかし心はそのままだった。司馬宙のままだった」
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