第五十六話 邪魔大王国の最期(前編)
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「ヒミカ様が。馬鹿な」
「あの女は死しても邪魔大王国の女王だった。それはあの三人を見てもわかるだろう」
「・・・・・・・・・」
その通りであった。それはククル自身が最もよくわかっていた。それを聞いてククルは完全に沈黙してしまった。
「御前は女王ではない。傀儡に過ぎないのだ」
「ではわらわは何なのじゃ」
「人間だ」
ゼンガーはまた言った。
「人間・・・・・・」
「そうだ、人間ならばわかるだろう」
彼はさらに言う。
「どうするべきかな」
「・・・・・・・・・」
「わからないならいい」
ゼンガーは沈黙してしまったククルに対して声をかけた。
「だがまた来るがいい。わかるまで何度もな」
「・・・・・・後悔するぞよ」
ククルはそんな彼に言い返した。
「わらわを逃がしたことを」
「俺の生き方に後悔はない」
しかしゼンガーは言い切った。
「俺は常に前を見据えている。過去はただ学ぶだけのもの」
「フン」
最後まで聞くとその場を後にした。ククルは残った僅かな兵を連れてその場を後にした。
「あのゼンガーさん」
一人立つゼンガーにクスハとブリットが側に寄って来た。
「いいのですか、あれで」
「あの女、きっと」
「構わん」
ゼンガーは二人に対しても同じであった。
「何度来ようとも。俺は敗れはしない」
「けれど」
「他の者に迷惑はかけぬ。これは俺とあの女の戦いだ」
「けどそれじゃあ」
「他の兵達か」
「はい」
クスハはそれに頷いた。
「このままじゃやっぱり」
「心配は無用だ。このダイゼンガーがある限り」
「けど」
「ゼンガーさん一機じゃ」
「そんなに心配なのか」
「勿論ですよ」
「同じ小隊じゃないですか」
二人はさらに言った。
「若しもの時は任せて下さい」
「俺達も一緒にいますから」
「・・・・・・これはあくまで俺とあの女のことなのだが」
「それはいいです」
クスハはここで無意識に駆け引きをした。
「けど。他のハニワ幻人は」
「俺達がやります。ゼンガーさんは自分のことに専念して下さい」
ブリットもそれに加わった。やはり彼も無意識であった。
「他のことは俺達が引き受けますから」
「・・・・・・・・・」
それを聞いてゼンガーは沈黙してしまった。
「いいですよね、それで」
「嫌なら・・・・・・仕方ないですけれど」
「士は己を知る者の為に死す」
ゼンガーは二人に応えなかった。しかし一言こう言った。
「えっ」
「その言葉は」
「自分を認めてくれている者の言葉は受けなければならないな」
「それじゃあ」
「ゼンガーさん」
「うむ。あらためて頼む」
彼は言った。
「俺と共に。戦ってくれ」
「は、はい!」
「それじゃあ。やらせて下さい
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