第五十四話 ヴォルクルスの影
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「はい。今回も辛い戦いになるでしょうが」
「まあそれはいつものことさ」
豹馬が言った。
「気にしてちゃいられないぜ。またやってやるぜ」
「もう、気楽なんだから」
「けど豹馬どんの力は頼りになるでごわす」
「大作、そんなん言うからこいつが調子に乗るんやで」
「勇と一緒だね、子供なんだよ」
「ふふ、確かに」
「何だよ、ヒメちゃんやカナンさんまで」
コンバトラーチーム以外に言われて口を尖らせる。
「俺と勇じゃ全然違うじゃねえか」
「あら、似てるわよ」
「ちずる」
「子供っぽいところなんか。もう少し大人になりなさいよ」
「ちぇっ」
「シュウさんみたいにとはいかないけれど」
「何だよ、あいつに惚れたのかよ」
「そんなのじゃないわよ」
少しムキになって否定してきた。
「あの人はね、ちょっと近寄り難いし。どうも側にいたらプレッシャーを感じるのよ」
「それはあるわね」
カナンがそれに頷いた。
「確か貴女達は未来であの人と戦ったのよね」
「はい」
「その時はもっと不気味なものがあったというけれど。今はどうかしら」
「今はそれはないですね。ただ近寄り難い雰囲気はそのままで」
「おまけにキザだしな」
「隼人以上にキザな奴なんてはじめて見たわ」
「一平もな。呆れてたぜ」
「キザ、ね」
ヒギンズはそれを聞いて考える目になった。
「どうしたの、ヒギンズ」
「いや、あの人のあれはキザじゃないんじゃないかと思って」
彼女は答えた。
「自然とそうした雰囲気なのかもな。そして何か心の中に持っている」
「企んでるってことか?」
「そんなのじゃない。けれど何を求めている」
「何かを」
「それが何かはわからないけれど。きっとあの人にとって大切なものだと思う」
「その大切なものの為にヴォルクルスを倒すの?」
「そうかも知れない」
ヒギンズはちずるの問いにも答えた。
「だから今私達に協力を要請したのかも」
「じゃあ俺達は利用されてるってことかよ、あいつに」
「豹馬」
ちずるがここで豹馬を咎める。
「あまりそうしたことは。シュウさんがここにいるかも知れないし」
「おっと、そうか」
「聞いたら気を悪くするわ。気をつけましょう」
「けどよお」
「気持ちはわかるけど。いいわね」
「チェッ」
やはり以前に激しく戦った過去があった。しかし今はとりあえずは味方なのである。ちずるの方が正論であった。
三隻の戦艦は複雑な気持ちの彼等を乗せて北に向かう。そしてある山の側にまで来た。
「もうすぐですよ」
その側に来るとシュウが言った。
「ですがそろそろ危険な場所です」
「危険な」
「はい」
シュウはロンド=ベルの面々に対して頷いた。
「そろそろ。ヴォルクルスの僕達が来ますから」
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