第五十二話 狂気の魔装機
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第五十二話 狂気の魔装機
シュメルの行方はようとして知れなかった。ロンド=ベルの面々は彼の捜索を続けたが手懸かりはないままであった。こうして一週間が過ぎようとしていた。
「参ったな」
マサキがグランガランに帰るとたまりかねたようにこう言った。
「何もわかりゃしねえ。どうしたもんか」
「あんたがそんなこと言うとはね」
同時に帰ってきていたリューネがそう応えた。
「そんなに困ってるのかい」
「困らない筈がねえだろ」
マサキはそれに対してこう返してきた。
「シュメルさんがどうなったのか、考えるだけであれなんだからな」
「そうだったね」
それを聞いたリューネの顔が曇った。
「どうなってるんだろう」
「あまりいいことになってるとは思えねえな」
マサキも同じ考えであった。
「ゼツの野郎、一体何をするつもりなんだ」
「何をするつもりでも私達は彼を止めなければならないの」
ここにウェンディが来た。そして二人に対してこう言った。
「さもないと取り返しのつかないことになるわよ」
「そうだな」
「けれど一体何をやってくるつもりなんだか」
「そこまではまだわからないけれど」
ウェンディは言った。
「恐ろしいことを行っているのは事実ね。覚悟はしておいて」
「ああ」
「わかったわ」
彼等だけでなく他の面々もその顔は暗いものであった。そしてここで新しい情報が入って来た。バゴニア軍で異変が起こったのだ。
「あの人が!?」
それを聞いてドロシーが最初に驚きの声をあげた。
「知っている人なのか?」
「知ってるも何も」
彼女はナンガの問いに少し慌てながら答えた。
「あたしの前に先生のところにいた人なのよ」
「そうだったのか」
皆それを聞いて表情を変えた。
「ジノ=バレンシアさんだよね。あたしも知ってるよ」
「へえ」
今度はプレセアが言った。
「バゴニアじゃ有名な剣の使い手だよ。鬼のバレンシアって言われてるわよ」
「鬼か。じゃあとんでもなく怖い顔をしてるんだろうな」
「ヤマガタケよりもな」
「こらサンシロー」
ヤマガタケはサンシローに言われて彼に対してつっかかってきた。
「そりゃどういう意味だ」
「まあまあ」
それをブンタが宥める。
「ここは落ち着いて。それでそのバレンシアさんですが」
「はい」
そして話を元に戻す。ロザリーはそれを受けて話を再開させた。
「ロザリーさんの兄弟子にあたるわけですね」
「ええ」
ロザリーはそれに頷いた。
「二年で先生から免許皆伝を貰ったそうでして」
「二年で」
「何でも天才だったとか。それでいて凄く真面目で熱心な方だったそうです」
「そんな人が」
「何をしたのかしら」
「脱走らしいわよ」
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