第五十二話 狂気の魔装機
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殺してやる」
決意した。そして彼女は戦場に身を留めることをあらためて決意したのであった。
戦いは暫く止んでいた。ラングラン本軍とバゴニア本軍もまた半ば休戦状態に陥っていた。そしてロンド=ベルもこれは同じであった。
「何か静かだね」
「嵐の前だな」
哨戒にあたるリューネに対して同行していたヤンロンが言う。
「これからだ。何かが起こるのは」
「ゼツが来るってことだね」
「それしかないだろう」
ヤンロンの声はクールだが強いものであった。
「何が来ても驚かないようにな」
「わかってるよ」
それで驚くようなリューネではない。こくりと頷いた。
「あんたもね」
「僕もか」
「意外とね、あんた隙が多いから」
「それはまた心外だな。僕の何処に」
「グランヴェールは今一つ打たれ弱いじゃない。それと同じだよ」
「打たれ弱い、か」
「あたしはそう思うよ。ゼツがどんな化け物出してくるかわからないけれど攻撃は受けないようにね」
「わかった」
珍しく素直に頷いた。
「それは君もな。ヴァルシオーネも守りはあまり強くはない」
「ああ」
これもわかっていた。リューネの乗るヴァルシオーネはその外観故かあまり守りは強くはない。それはリューネ自身がよくわかっていることであった。
「魔装機は全体的に守りが弱いのかな」
「地の魔装機はまた別だがな」
「そういう意味じゃミオはいいよね」
「その分機動力が劣る。五十歩百歩だ」
「そんなものかね」
そんな話をしているうちにヴァルシオーネのレーダーに反応があった。一機こちらに向かって来る。
「!?何だろ」
「それはどうやら魔装機だな」
ヤンロンのグランヴェールの精霊レーダーにも反応があった。彼はそれを見てすぐに言った。
「バゴニアのものだ。こちらに向かって来る」
「じゃあ敵だね」
「そうだな・・・・・・いや待て」
だがヤンロンはここで止まった。
「何かあるのかい?」
「どうもおかしい。逃げているようだ」
「!?逃げてる」
「ああ。そしてその後ろに魔装機が数機続いている。これもバゴニアのものだ」
「脱走!?」
「おそらく。どうする」
ヤンロンはリューネに問うてきた。
「バゴニア同士のことだ。我々には関係ないと思うが」
「そうだね」
リューネはそれを聞いて考え込んだ。それから言った。
「とりあえず見てみようよ。それから考えればいい」
「珍しく落ち着いた考えだな」
本当であった。いつもは直情的なことではマサキに匹敵するリューネであるのにこの時は冷静であった。
「皮肉は止めてよ。何かね、気になるんだ」
「気に」
「とにかく行こう。そして場合によっちゃ他の皆も呼ぶ」
「ああ」
「それでいいね。じゃあ行こう」
「よし」
こうして二
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