第五十一話 ファイアーボンバー
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ることがさらに強くなっていたのであった。
それはケリィやカリウス達も同じであった。この戦いで彼等はそれぞれ何かを感じたようであった。だがここに彼等とはまた違った心を抱く者がいた。
ゼクスであった。彼は戦場から帰ると一人ネオ=ジオンの旗艦であるグワダンにある自分の部屋に篭った。そして考えに耽るのであった。
「・・・・・・・・・」
「どうしたのだ、ゼクス=マーキス」
部屋の扉が開いた。そして誰かが入ってきた。
「その様に考え込んで。何があったというのだ」
「貴殿か」
見ればそれはハマーン=カーンであった。彼女はネオ=ジオンの軍服とマントに身を包みそこに立っていた。
「先の戦いのことか」
「わかっていたか」
彼は静かにそう答えた。
「何でもお見通しというわけかな」
「そんなことはない」
ハマーンはそれは笑って否定した。
「何となく勘で語っただけだ。どうやら当たったようだな」
「そうか」
ゼクスはそれを聞いて頷いた。
「では私の考えていることもわかるというわけか」
「無論」
ハマーンはそれを認めた。
「私とてネオ=ジオンの摂政だ。見抜けぬと思ったか」
「流石と言うべきかな」
ゼクスはそう言いながら自らの仮面に手をかけた。そしてそれを外した。
「そこまで見ていたとは」
そしてミリアルド=ピースクラフトに戻った。こうしてゼクス=マーキスはいなくなった。
「ではミリアルド=ピースクラフトよ」
「何か」
「これからどうするつもりだ」
「もう考えてある」
ミリアルドは言った。
「おそらく今度会う時は敵と味方だ」
「そうか」
「それでもよいのだな、ハマーンよ」
「貴殿は元々ジオンの人間ではない」
ハマーンは答えた。
「ジオンの者ではないのならば言う必要もない。違うか」
「これからジオンが宇宙を支配するというのに寛大なのだな」
「その時は貴殿はこの世にはいない」
ハマーンの声は峻厳なものであった。
「それも覚悟のうえではないのか」
「そうだな」
そしてゼクスもそれに頷いた。
「私はジオンの大義は信じてはいない。そしてジオンが人類を支配するとも思ってはいない」
「言ってくれるな」
ハマーンはそれを聞いてシニカルに笑った。
「私を前にして」
「言うべきことは言わなければな。後で後悔する」
「そうなのか」
「また貴殿も私が言ったからといってそれを阻むつもりもあるまい」
「それもそうだ」
ハマーン自身もそれを認めた。
「私はジオンの為に生きている。ミネバ様の為にな」
「あの少女の為にか」
「あの方を王座にお就けする。その為には如何な犠牲も払う」
「血を分けた妹と分かれてもか」
「知っていたのか」
それを聞いたハマーンの顔がさらに険しくなった。
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