第五十一話 ファイアーボンバー
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んだ。
「人を導くのは音楽だ!そして俺の歌だ!」
いささか暴論ながらもそう言ってのけた。そう言えるのは確かに彼だけであった。
「どうだ、俺の歌は!心に響くだろうが!」
「戯れ言を」
だがガトーはそれを頑なに拒否してこう返してきた。
「たかがこの程度のもので!私を止められると思っているのか!」
「そうかい。だがその心には届いている筈だぜ!」
「何っ!?」
「俺の歌は人の心を掴む!そして離さねえんだ!」
「馬鹿を言え!」
「馬鹿かどうかはあんたが一番よく知っている筈だぜ!」
バサラはまた叫んだ。
「その心にあるものが見えてきている筈だ!あんたは何を望んでいる!」
「わ、私は・・・・・・」
彼はこの時自分の心の中を見た。そこには確かにあった。彼が求めていたものが。
「私は大義に生きている!他には何もいらぬ!」
「何!」
「その為に今ここに立っている!若者よ、少なくとも君の歌には屈しはせぬ!」
「何だって!何ておっさんだ!」
「そりゃそうなって当然でしょ!」
ミレーヌがここに来て言った。見ればバトロイドに変形している。
「歌は人の心を綺麗にするんだから。こうした人にやったらもっと生真面目な方向に行っちゃうに決まってるじゃない」
「おう、そうだったのか」
「そうだったのかじゃないわよ」
バサラの声を聞き呆れた声を出した。
「全く。これからどうするのよ」
ミレーヌはまたバサラに言った。
「この人、これから大暴れするかも知れないわよ」
「いや、その心配はないよ」
だがここでコウがこう言った。
「もう戦場にはガトー以外いないから。少なくとも時間稼ぎにはなった」
「あれっ、そうなんですか」
ミレーヌはそれを聞きキョトンとした顔になった。彼女の肩にいるグババも同じであった。
「その証拠にもう撤退をはじめている」
「あっ」
見ればその通りであった。ガトーは既に戦場から去ろうとしていた。
「何でまた」
「その大義の為だろうな」
コウはミレーヌに対してこう言った。
「大義の為、ですか」
「そうさ。その為に命は置いておかなくちゃいけない。あいつはそう考えているのさ」
「何かまたとんでもないことするつもりですかね」
「ソロモンの時もそうだったしな。そしてコロニー落としの時も」
彼はこの時彼と戦ってきた幾多の戦場を思い出して言っていた。
「そして今も。少なくとも今はあいつが命をかける場面じゃなかったってことさ」
「そうだったんですか」
「それに気付かせただけでも凄いことさ。しかし」
ここでコウの顔が険しくなった。
「今度会う時がもしその時なら。覚悟が必要だな」
「そうですね」
「グババ」
ミレーヌとグババはそれに頷いた。だがバサラは相変わらずであった。
「そ
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