第五十話 ロザリーの真実
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いことがありまして」
シュメルは考え込む大文字の懐疑の念を打ち消すかのようにそう声をかけてきた。
「宜しいでしょうか」
「どうやら是非共聞かなければならないお話のようですな」
「そうかもしれません」
シュメルはそれを否定しなかった。
「それでも宜しいでしょうか」
「そうですな」
彼はそれを聞いてまた暫く考え込んだ。それから口をまた開いた。
「御聞きしましょう。してそのお話とは」
「ロザリーのことです」
シュメルはそう答えた。
「そちらの方の」
「そうです。実は彼女のことで貴方達にお願いがありまして」
「先生、止めてよ」
ロザリーはその横でシュメルに対してそう言っていた。
「いいのよ、私のことは」
「残念だがそういうわけにはいかない」
シュメルは首を横に振ってそう返した。
「最早一刻の猶予もならないからな」
「けど」
「ロザリー」
シュメルはその目でロザリーを見据えた。不思議と剣の使い手特有の鋭さはなかった。温かい目であった。
「私の頼みだ。聞いてはくれないか」
「先生の」
「そうだ。それでは駄目だろうか」
「・・・・・・わかったわ」
ロザリーは溜息を吐き出してそう答えた。
「それじゃあ先生の言葉に従うことにするわ」
「済まないな。では」
そしてあらためて大文字達に顔を向けた。
「ロザリーをロンド=ベルで預かって欲しいのですが」
「ロンド=ベルにですか」
「はい」
シュメルは頷いた。
「最近何かと騒がしいですし。無闇に戦火に晒されるよりは戦場にいた方が身の危険も少ないだろうと思いまして」
「それでですか」
「木の枝を隠すには森の中で。そういうことです」
「そうですな」
大文字はそれを聞いてあらためて考え込んだ。
「ただ、難点があります」
「それは」
「ロザリーさんの見の置き場ですが。どうされますか」
「それならば御心配なく」
大文字の心配事にシュメルはあっさりとそう答えた。
「ロザリーは魔装機の腕もかなりのものですから」
「そうだったのですか」
「そうよ」
ロザリーは得意そうな顔で言葉をかけてきた。
「私こう見えても魔装機も扱えるんだから。もっとも乗るのはもっぱら買い物用のルジャノール改だったけれど」
「だが今回は全く違うものに乗ってもらう」
「先生、今度は何なの?」
「ブローウェルだ」
「ブローウェルってあの」
「以前ゼオルート殿から譲られたものだが。ラングランの魔装機だ」
「魔装機ですか」
「ええ。それが何か」
「いえ、よく譲られたものだと思いまして」
「私とゼオルート殿の関係でしたから国家同士でも納得してくれたのです」
シュメルは率直に大文字にそう答えた。
「だから今こうして持っていたのです。これなら性能的
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