第五十話 ロザリーの真実
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よ」
「素直に」
「そうよ。変に意地を張っても仕方ないから。素直になるのよ」
「どういう意味なのかしら」
「すぐにわかるわ」
首を傾げるリューネに対してシモーヌが言った。
「すぐにね」
「ふうん」
「それでシュメルさんの人間性は好きになってたのよね」
「ええ」
ロザリーはレミーの言葉に頷いた。
「本当に悪人だったら今頃は毒でも使ってでも」
「それよ。けれど貴女はそうはしなかった」
「えっ・・・・・・」
ロザリーはその言葉にハッとした。
「それって」
「そうよ。貴女は先生を好きになりだしていたのだから。だから復讐を捨てていた」
「もう捨てていたの」
「そう。だからそれに従いなさい」
「いいの?それで」
「復讐だの仇討ちだのってね。終わっても空しいだけよ」
レミーは笑ってこう言った。
「だから忘れた方がいいわ。女ってのはね、楽しく生きないと綺麗になれないわよ」
「綺麗に」
「折角可愛く生まれたんだから」
いつもの調子で言う。
「楽しく生きなさいな。さしあたってはシュメルさんへの憎しみは忘れること。いいわね」
「はい」
ロザリーは頷いた。
「じゃそうします」
「そういうこと。じゃあこれから飲む?」
「お酒ですか」
それを聞いたロザリーの顔が明るくなった。
「私大好きなんですよ」
「あらあら、意外ね」
「先生は少しずつ飲んでいたけれど。私はもう幾らでも飲めて」
「おや、それは嬉しいねえ」
ベッキーがそれを聞いて嬉しそうな声をあげた。
「じゃあ飲むかい?あたしも好きなんだよ」
「あたしも入れてもらおうかな」
シモーヌも入ってきた。
「こう見えてもお酒には五月蝿くてね。カクテルとかね」
「あっ、いいですね」
カクテルと聞いてロザリーの顔がさらに明るくなった。
「私もそれ好きで。じゃあ四人で」
「飲みましょう」
こうしてロザリーの心は晴れた。彼女はとりあえずはシュメルへの憎しみの感情を消すことができたのであった。
彼女はこれでよかった。だがバゴニアでは一つの異変が起こっていた。
「それは本当のことなのか!?」
ジノは基地に帰投した後で整備兵達から話を聞いて思わずそう問い返した。
「はい」
整備兵達は頷いた。そしてそのうえでまた言った。
「シュメル師はゼツ術士に身柄を拘束されました。そしてそのまま首都に連行されたそうです」
「それも自軍の兵士を人質にとってです」
「何ということだ」
否定したかったがそれはできなかった。ゼツならやりかねない、ジノ自身もそう思っていたからであった。
「そしてシュメル師は」
「・・・・・・・・・」
だが整備兵達はジノのこの問いには首を横に振った。
「残念ながら」
「あまりいいことにはならないかと思
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