第五十話 ロザリーの真実
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・・・」
胸が次第に朱に染まっていく。かなりの傷であるのはもう言うまでもないことであった。
「見ろ、己の血を」
「これがどうしたというのじゃ」
「貴様の血の色・・・・・・。それは赤だ」
「クッ」
「それが何より物語っている。貴様のことをな」
「まだ言うか、戯言を」
だがククルはそれを認めようとはしなかった。
「わらわは邪魔大王国の女王、それ以外の何者でもないわ」
「女王か」
「そうじゃ。貴様なぞに惑わされはせぬ。わらわは・・・・・・」
「ならば行くがいい」
「何!?」
「御前の王国に。だがわかっている筈だ」
彼はまた言った。
「その王国を支配しているのが誰なのかな」
「・・・・・・・・・」
反論できなかった。先程のイキマの言葉。今も耳に残っていた。
「俺は追いはせぬ。行くがいい」
「後悔するぞ」
ククルは苦し紛れのように言い返した。
「何度もわらわを逃がしてはな」
「前にも言った筈だ、俺は後悔はしない」
ゼンガーの言葉は毅然としたものであった。そこには一切の迷いがない。
「だからこそ御前を行かせるのだ」
「フン」
ククルは朱に染まった身体のまま言った。
「覚悟しておれ」
それが最後の言葉であった。マガルガは胸に激しいダメージを追いながらも戦場を離脱した。こうして邪魔大王国との戦いはまたしても幕を降ろしたのであった。
「なあゼンガーさん」
トッドが彼に声をかけてきた。
「何だ」
「あの女を何度も逃がしてるけどよ。まずいんじゃねえのか」
「邪魔大王国のことか」
「いや、あの連中は正直楽な相手だからな。それは気にはならねえ」
トッドはそれはよしとした。
「けどな、あの女は別だろ」
「ククルか」
「そうさ。半端な腕じゃねえ。倒せるうちに倒しておいた方がいいだろう」
「本来ならそうしていた」
ゼンガーはそれに対して答えた。
「だがあえてそれはしない」
「何でだよ、また」
「それもいずれわかる」
彼はそう言った。
「いずれかよ」
「そうだ。あの女も気付くだろう」
ダイゼンガーもまた遠くを見ていた。
「その時でいい。その時でな」
「まああんたのことだからな」
トッドはいつもの調子でそう述べた。
「好きにしてくれ。ただ死ぬなよ」
「わかっている」
「死なれたらこっちも後味が悪いからな」
何はともあれ戦いは終わった。だがここで一つ疑問があった。
「何であいつ等は俺達に向かって来たんだ?」
「何でって俺達を敵だと思っているからじゃないのか?」
ナンガに対してラッセがこう返した。
「わざわざこんなところまで俺達を追ってきた程だしな。当然だろう」
「俺が言っているのはそんなことじゃない」
だが彼はそれを否定した。
「じゃあ何
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