第五十話 ロザリーの真実
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備は着々と進められていったのであった。
ロンド=ベルが邪魔大王国とまたもや戦いを繰り広げようとしていた頃シュメルの邸宅に二十機近い魔装機がやって来た。見れば皆バゴニアのものであった。
「ヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョ」
「やはり来たか」
シュメルは彼等を見ても冷静なままであった。彼は邸宅の外でルジャノール改に乗っていた。そしてゼツの乗る魔装機と対峙していたのであった。
「ゼツ、それ程にまでこの私が必要なのか」
「誰も御前なぞ必要とはしておらぬわい」
だがゼツの答えはいささか奇妙なものであった。
「何っ」
「わしが欲しいのは御前の技だけじゃ」
彼はそう言った。
「その他には何もいりはせぬ。特に人の心なぞはな」
「愚かな」
シュメルはそれを聞いて吐き捨てるように言った。
「人から心を抜いたら何になるというのだ。錬金術を学びながら人の道を踏み外したというのか」
「それも何の役にも立たぬのう」
ゼツは何処までも狂っていた。
「わしは人にはそんなものは一切求めぬ。駒に求めるものではないわ」
「駒だと」
「それ以外に何と言うのじゃ」
彼はまた言った。
「わし以外の存在は全て駒。この世の中にはわしだけがおればよい」
「何処までも腐っているというのか」
「腐っていようとどうしようとわしさえよければよいのじゃ。わしの研究が達成されることとラングランへの復讐が為されればのう」
「・・・・・・・・・」
シュメルはもう何も語ろうとはしなかった。もう話しても無駄だと思ったからであった。
「ではどうしても私を連れて行くというのだな」
「そうじゃ」
彼は言う。
「正確には御前の技をのう」
「断ると言ったら」
「決まっておろう」
ゼツの言葉はシュメルにとっては何処までも予想されたことであった。
「意地でも来てもらう。行け」
彼の指示に従い一機の魔装機が進み出てきた。見ればごく普通の一般のパイロットであった。
「シュメル殿」
そのパイロットはかなりビクビクしながらシュメルに声をかけてきた。
「何だ、若者よ」
「申し訳ありません」
彼はそう言ってシュメルに謝罪した。
「このようなことになってしまい」
「よい」
だが彼はそれを咎めはしなかった。
「貴殿にも貴殿の事情があるのだからな」
「すいません」
「だが私も捕らえられるわけには行かない。行くぞ」
そう言っただけであった。ルジャノールがギンシャスを一閃した。
「!?」
「若者よ」
シュメルはバゴニアのパイロットに声を掛けてきた。
「逃げるがよい。その機体はもう駄目だ」
「は、はい」
彼はそれに従い魔装機から脱出した。するとギンシャスは程なくして爆発してしまった。
「急所は外してある。無駄な血を流す
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