第四十九話 熱気バサラ
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りですか」
「私か?」
「はい。木星トカゲの部隊は壊滅しましたし。このままでは」
「私の方も今防衛ラインを築いているところだ」
ゼクスはそう答えた。
「だが一つ問題がある」
「ティターンズですか」
「そうだ。パプテマス=シロッコが動きはじめたのだ」
「こんな時に」
「デラーズ閣下も応援に来られるそうだが。これもまた問題だ」
「何故でしょうか」
「バルマー帝国の本隊が地球に向かって来ているらしいのだ。まだ未確認の部分が多い情報だがな」
「バルマーが」
「今アクシズを空にするわけにはいかない。デラーズ閣下にはアクシズの防衛をお願いしたいと思っている」
「ですがそれでは」
「構わんさ。私はどのみちここでは余所者だ」
ゼクスはそう言って笑った。
「喜んで捨石になろう。それで死ねばそれまでのことだ」
「・・・・・・・・・」
「だが君はそうはいかないだろう。兄君のこともある」
「・・・・・・・・・」
スレイは何故か答えようとしなかった。黙って俯いている。
「これからは君自身が決めるといい。何事もな」
「それは一体どういう意味でしょうか」
「そのままの意味だ。特に深い意味はない」
そう返すだけであった。
「いいな。あと」
「はい」
「兄君は今こちらに向かっている。合流するかね」
「はい」
スレイはこくり、と頷いた。
「ならいい。ではな」
「はい」
こうしてゼクスはモニターから姿を消した。スレイは暗くなったモニターを見て深刻な顔になていた。
「お兄様・・・・・・」
一言そう呟いただけであった。それ以上言葉は出なかった。
赤い流星が銀河の中に消えていった。只一つのその星は何かを欲していた。しかしその欲するものが何であるかはその星自身もわかってはいなかった。だが運命は変わろうとしていた。彼女が気付かないうちに。
第四十九話 完
2005・10・13
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