第四十九話 熱気バサラ
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んだ。だからあたしにも気付きはしなかったのさ」
「戯れ言を」
だが彼女はそれを否定した。
「目の前にいるのなら。最早容赦はしない!」
「そうはいかないんだよ」
アイビスはまた言った。
「今のあんたには」
「黙れ!」
ここでベガリオンの攻撃が放たれる。しかしそれはアルテリオンにかわされてしまった。
「チィッ!」
「あたしはね、今も全然動いちゃいないのさ」
「まだ言うか!」
「言ってやるよ。あんたが目に見えるものを信じようとしない限りはね。そしてそうである限りあんたは」
「なっ!」
姿を消した。また辺りを見回す。
「何処だ!」
「あたしは勝てないのさ」
アルテリオンが前に姿を現わした。先程と全く同じであった。
「グウウ・・・・・・」
パイロットにとってこれ程屈辱的なことはなかった。スレイは歯噛みするしかなかった。
「わかったのならまた来るんだね」
「情をかけるというのか、この私に」
「生憎あたしはそんな殊勝な女じゃないよ」
「では何故」
「またあんたと会いたいだけさ」
「なっ・・・・・・」
スレイはそれを聞いて絶句した。衝撃がその全身を走った。まるで稲妻の様に。
「今何と・・・・・・」
「愛の告白と言いたいところだけれどね。残念だけれど違うよ」
「アイビス」
調子に乗るかのように言うアイビスに対してツグミが言葉を入れる。
「どうしたの、今日は。何かおかしいよ」
「そうかも知れないね」
アイビスは意外にもそれに頷いた。
「けれど。これは全部本心なんだよ」
「本心なの」
「そうさ。少なくとも嘘は言っちゃいないよ」
「そうだったの」
「スレイ」
アイビスはスレイに顔を戻した。
「わかっていると思うよ、あんたは」
「何をだ」
「自分自身のことをさ。わかったらまた来な」
「貴様に言われずとも」
まるで反抗するかのような口ぶりであった。そこには普段の高慢なまでの自信はなかった。何かに反抗するかのように子供じみたものを持っていた。
「また来る。その時こそ貴様もツグミもヴァルハラに旅立つ時だ」
そう言い残してその場を後にした。その時にはもう戦争はあらかた終わってしまっていた。やはりロンド=ベルの勝利であった。
「本当に素直な奴じゃないね」
「アイリス、今日は一体どうしたのよ」
ツグミは後ろからアイリスにそう問いかけてきた。
「おかしいわよ、本当に」
「それはさっき答えたよ」
だがアイリスはそれにはあえて答えようとしない。腕を振って笑ってそう返す。
「二回答えるのはちょっと勘弁してもらいたいよ」
「じゃあ率直に聞くけれど」
「ん!?」
「スレイのこと、本当に待ってるのよね」
「あたしは嘘は言わないよ」
これこそが他の何よりもわかり易い言
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