第四十八話 新たなる来訪者
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
られないぜ。罵声もうちとは比べ物にならねえしな」
「あら、聖戦士でも怖いものがあったの」
「皮肉か、マーベル」
「まさか。私のパパはテキサスよ。そんなのが好きだったわ」
そう言いながらトッドにステーキとマッシュポテトを渡す。
「はい」
「お、悪いな」
トッドはそれを受け取るとまずはマッシュポテトを食べた。それからステーキを口にする。
「案外美味いな」
「どうかしら、そのテキサスの味は」
「いいんじゃねえのか。たまにはこんなのもいいな」
「海兵隊風の味付けよ」
「何っ!?」
「近所にね、いたのよ。硫黄島の戦いに参加していたお爺さんが」
「あのとんでもねえ戦いにか」
アメリカ海兵隊にとって最悪の戦いと言われているのが硫黄島の戦いである。制空権、制海権を完全に掌握し、完璧な包囲下に置き、空爆と艦砲射撃を執拗に行ったうえで攻撃を開始するのがアメリカ軍の戦術である。第二次世界大戦の末期に行われたこの日本の孤島での戦いはそれでも苦戦したことで知られている。
攻略は海兵隊が受け持った。その圧倒的な戦力をバックに攻撃を開始した。誰もが簡単に勝てると思った。しかしそうはいかなかったのだ。
日本軍の指揮官は栗林中将をはじめとしてそこにいた日本軍の将兵はそれでも戦った。事前に地下に複雑な基地を設け、そこを拠点として戦ったのだ。一ヶ月にも渡る戦いを経て日本軍は玉砕したがこの孤島を攻略するのに海兵隊は二万を超える犠牲を支払わなければならなかった。これは日本軍の損害よりも大きかった。
「よくもまあ生きてたな」
「その人に教えてもらったソースを使ったのよ」
「へえ」
「どうかしら、その味は」
「まあ悪くはねえな」
彼はまた言った。
「濃くてな。それに甘いな」
「疲れがとれやすいようにね」
「やっぱり海兵隊は違うな」
「惚れたかしら」
「その爺さんにか?」
「いえ、海兵隊によ」
「それは勘弁してくれ」
トッドは笑いながらそう言った。
「俺は空の空気が一番合ってるさ」
そんな話をしながら彼等は夕食を採っていた。その時大空魔竜ではレイはグランガランにあるようなステーキを食べたりしてはいなかった。皆はヤマガタケが作ったちゃんこに舌鼓を打っていたが彼女は自分で作った野菜だけのちゃんこを食べていたのだ。
「美味しい?」
「はい」
彼女はミドリの言葉に頷いた。
「うどんやお餅も入れていますから」
「そうなの」
「他にはきりたんぽも入れようかと思いましたけれど」
「また面白いものを入れようとしたわね」
「知ってますか?」
「日本の秋田の食べ物でしょ。知ってるわ」
「そうだったのですか」
「あれもね。美味しいわね」
「はい」
レイは頷いた。
「あれ、好きです」
「私もよ。お米だし食べ易いしね
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ