第四十八話 新たなる来訪者
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の」
その青い炎が消えた。
「ゼンガー=ゾンバルトよ。貴様も消える運命なのだ」
青い炎が消え去った場所を見詰めながら呟く。
「わらわの手によってな。この火と同じく」
そこまで言うと玄室から消え去った。後には何も残ってはいなかった。
「邪魔大王国とな」
ゼツは邪魔大王国とロンド=ベルの戦闘の話を自身のラボにおいて聞いていた。
「また妙な連中が来たようじゃな」
「如何致しますか」
報告にあがったバゴニア軍の士官が彼に問うた。
「あらたな敵の出現ですが」
「敵とな」
「はい」
その士官はゼツの言葉に頷いた。
「彼等は地上ではかなり手荒く暴れたようです。もしかするとこのラ=ギアスも」
「そんなことはどうでもいいことじゃ」
「どうでもいいこと」
ゼツの性格は知っていたがそれを直接聞くと疑わずにはいられなかった。彼が正気かどうかということを。
「ラ=ギアスがどうなろうとわしには関係のないことじゃ」
「関係のないことですか」
「ラングランの愚か者共を滅ぼせさえすればそれでよいのじゃ。わしを認めなかったあの愚者共をな」
「はあ」
彼はそれを聞き、そして語るゼツの目と声を目の当たりにして確信した。彼は間違いなく狂っているのだと。
「どうでもよい。放っておけ」
「無視するのですか」
「その通り。例え何が出ようとわしには関係ないことじゃ。どうでもよい」
「わかりました。それでは」
「うむ」
士官はゼツのラボを去ろうとする。だがここでゼツはふと呟いた。
「待つがよい」
「!?」
「その連中はロンド=ベルの連中と戦っておったのじゃな」
「はい」
最初に報告したことであったg。どうやら忘れていたらしい。
「面白い。今面白いことを考えついたぞ」
「はあ」
これ以上彼の側にいたくはなかったが仕方のないことであった。止むを得ずゼツに付き合うことにした。
「その者達をロンド=ベルを向けさせるのじゃ。偽の情報を流してな」
「偽の情報を」
「その通り。そして奴等をシュメルから引き離す」
「そして」
「その後はわしがやる。よいな」
「わかりました」
「ジノとトーマスには伝えよ。邪魔大王国を監視しておけとな」
「御二人をですか」
「全てわしがやる。それとも何かあるのか?」
「い、いえ」
士官はゼツにそうと我慌てて被りを振った。
「滅相もありません」
見ればラボの所々に死骸が転がっている。腐ったものや白骨、まだ息があるものまで。大抵は実験用の生物のものであるようだが中には明らかに違うものもあった。五本の指を持つ細長い腕も転がっていたのだ。
ゼツはバゴニアの影の最高権力者となっていた。首脳部は政界も官界も財界もそして軍部も皆彼に洗脳されていた。そして彼は自らの思う通りに実権
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