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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇
第四十六話 狂った錬金術士
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かしな」
「一年戦争の時にホワイトベースに潜り込んだジオンの女スパイの話は知っているな」
「ああ、カイさんのあれか」
 タダナオもその話は知っていた。カイが出会ったジオンのスパイのことである。彼女は弟や妹達を養う為にジオンに協力していたのだ。だがカイに見つかり身を引いた。一歩間違えれば彼女もカイも命を落としていたかも知れない危険な状況下において。
「けれどあれは」
「剣聖シュメル、事前に何か手を打たれていてもおかしくはない」
 オザワは冷静にそう述べた。
「そうではないか」
「そりゃ軍隊では常識だけれどよ」
「可能性は大いにある否定はできないな」
「そうだが今回はそれではない」
「ゼンガーさん」
 二人の前にゼンガーが姿を現わしてきた。闇夜の中に赤い軍服と銀の髪が浮かび上がる。
「どうしてここに」
「鍛錬を積んでいた」
 彼は静かにそう言った。
「示現流は一日で極められはしない。剣の道はな」
「それでですか」
「それはそうと話は聞かせてもらった」
「はい」
「あのロザリーという娘がスパイかという疑念だな」
「ええ。ゼンガーさんはどう思われますか?」
 オザワは彼にも尋ねてきた。
「そうじゃないですよね」
 タダナオもであった。それぞれでゼンガーが答えることを願っている内容はそれぞれ違うが。
「そうだな」
 彼はまず一テンポ置いてから言った。
「俺はそうではないと思う」
「やった」
「何故ですか!?」 
 それを聞いて喜ぶタダナオ。だがオザワはそれでも問うた。
「どうしてなんですか、教えて下さい」
「動きだ」
「動き!?」
 オザワはそれを聞いて眉を動かせた。
「あの娘の動きは確かに剣の嗜みがある者の動きだ」
「はい」
「それもかなりの熟練の。若いが剣の腕は確かなようだ」
「けれどそれだけじゃ」
「それだけだった」
 ゼンガーはまた言った。
「だがそこには軍人としての動きはなかった」
「軍人の」
「そうだ。このロンド=ベルにも民間人は多いな」
「ええ、まあ」
「かなりの割合で」
「彼等と軍人の動きは違う。訓練を受けているからな」
「訓練ですか」
「軍人は何事も訓練だ。それで戦いを身に着ける」
「まあ」
「その通りですね」
 タダナオもオザワも軍人である。だからこそわかることであった。彼等も入隊からラ=ギアスに召還されるまでずっと訓練を受けてきた。それはもう骨身に染みついている。だからよくわかった。
「彼女にはそれがない。軍人の動きではなかった」
「けれど民間人のスパイじゃ」
「それにしては目の色が違う」
「目、ですか」
 またそれについて触れられた。
「そう、彼女の目は探る目ではない。そこからも違うとわかる」
「じゃあ完全にフィアンセなんですね。
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