第四十六話 狂った錬金術士
[19/19]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ベル」
「左様。特にあの男にな」
その脳裏に銀髪の髪の男の顔が浮かんだ。
「マガルガの恨み、ここで晴らしてくれる」
赤い目に憎悪の炎が宿る。だがそれはすぐに消された。
「ククル様」
そこにアマソとミマシも来たのである。三人はククルの前で並んで畏まった。
「来たか」
「はい。御命令を」
「わかった。では行くがいい」
「はっ」
「ただしあの男はわらわが相手をする。手出し無用ぞ」
「わかっております。それでは」
「うむ」
三人は姿を消した。後にはククルだけが残った。
「わらわも行かねばば」
そう言いながら奥へ消えた。そして玄室に入るとその服を脱いだ。白い裸身が姿を現わす。それはまるでギリシア彫刻の様に整っていた。幻の様に美しかった。
髪も解く。銀色の髪がその裸身を覆う。そのまま玄室の向こうにある扉を開けた。そこは巨大な浴室であった。
その浴室にある浴槽に身体を浸す。そしてその中で一人思索に耽っていた。
「ゼンガー=ゾンボルト」
彼女はあの男の名を呟いた。
「今度こそ必ずやぬしの首を討つ」
その脳裏で首を断ち切られるゼンガーの姿が思い浮かんでいた。
「覚悟しておれ」
彼女は戦いに赴く為にその身を清めていた。それはそのまま戦いへの決意であった。ゼンガーに対する憎しみの表われでもあった。
第四十六話 完
2005・9・24
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ