第四十六話 狂った錬金術士
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主はからかうように笑ったのを見て慌ててそう返す。
「けど。大丈夫ですかね」
「安心していいですよ。それより」
シュウは眼下の海を見下ろしながらまた言った。
「地球はまた騒がしくなりますよ」
「地球が!?」
「はい。また一人動こうとしています」
そう言いながら今度は上を見上げた。
「あの女が」
「ああ、彼女ですか」
シュウにはそれが誰であるのかすぐにわかった。
「予想通りですね」
「えっ、そうなんですか!?」
「はい。必ず動くと思っていました、彼女は」
「何とまあ」
チカはそれを聞いてまたもや驚いていた。
「何か御主人様の読みって凄いですね」
「大したことはありませんよ。彼女の性格を考えると当然のことです」
だが当人の態度は至ってしれっとしたものであった。
「これでまた一人新たな力が加わります」
「そうなります?」
「なりますよ」
懐疑的なチカにもそう答える。
「ですから安心していて下さいね。当面は」
「当面は、ですか」
「大切なのはこれからです。宇宙からある者が来ます」
「バルマーですか?」
「はい。そこに彼がいます」
そう言いながら上を見上げる。
「彼が。果たしてどうなるか」
その顔に何かが差し込んでいた。
「それが問題なのです。地球にとっても、私達にとっても」
シュウはそう言いながら空を見上げて続けていた。その空は彼が今まで見下ろしていた海のそれとは全く違う青を映し出していた。しかしその青は海のそれに勝るとも劣らぬ程美しいものであった。
ミケーネ帝国は恐竜帝国が崩壊した後はあまり大きな軍事行動を起こしてはいなかった。暗黒大将軍も七大将軍も前線にはあまり出ず、ミケーネの侵略はとりあえずは沈静化していると言えた。
それは邪魔大王国も同じであるように見えた。しかし彼等の姿は何時の間にかミケーネ帝国から消えてしまっていたのであった。
「ククル殿の居場所はまだわからぬか」
暗黒大将軍はミケーネの基地の奥深くで七大将軍達に対してそう問うていた。
「ハッ、残念ながら」
まずは超人将軍ユリシーザがそれに答える。
「地上にもおられませぬし。一体何処に行かれたのか」
「見当もつきませぬ」
ドレイドウもそれに続く。彼等はそれぞれククルの居場所を探していたのだ。
「そうか。困ったことだな」
暗黒大将軍はそれを聞いて溜息と共にこう言った。
「闇の帝王が復活されれば。我等は地上に対して全面的な攻撃に出るというのに」
「その為にあの者達も甦らせましたしな」
昆虫将軍スカラベスが口を開いた。
「抜かりなきように」
「あの者達にも働いてもらわなければならんしな」
「はい」
スカラベは暗黒大将軍に対して恭しく頭を垂れた。
「兜甲児にはあの者達をぶつけま
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