GGO編
百五話 観戦者達の不安
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げた。
その手には、先程の黒い拳銃が握られている。まるで、ネット回線や画面と言う境界線を越えて此方に向けられているかのようなその銃口に、サチの動悸がますます加速する。
紅い光点の目を点滅させながら、恐らくはボイスエフェクトがかかっているのだろう途切れ途切れの機械的な声で、彼は言った。
「……俺と、この銃の、真の名は、《死銃》……《デス・ガン》」
心音が、ますます速くなる。再び、声。
「俺は、いつか、貴様等の、前にも、現れる。そして、この銃で、本物の、死を、もたらす……俺には、その、力が有る」
小さな金属音がした。画面に向けられているその銃が鳴いた音だと、サチには分かった。
視線を、銃から、画面の向こうの男から外すことが出来ない。動悸がおさまらない。
あの男は危険だと、自分の本能が言っている……
「忘れるな、まだ、終って居ない。何も、終って、居ない…………“イッツ・ショウ・タイム”」
言葉が途切れた。と、サチはようやく、自分がいつの間にか呼吸をしていなかった事に気づき、大きく息を吸った。
「あ、あの、サチさん、大丈夫ですか?」
「あ……」
リーファの心配そうな声が聞こえて、サチは咄嗟にそちらを向く。眼が合うと、彼女の眼が何処か不安に揺れているのが分かった。
「う、うん。大丈夫──[ガシャァン!!]っ!?!?」
なんとか微笑んで見せたが、直後に響いた硬質な物が割れるような音によって、サチは飛び上がる。見ると、クラインが画面に目をくぎ付けにされたまま、唖然とした様子で手に持ったそれなりに高いアイテムのグラスを落としたおとだった。
「う……嘘だろ……彼奴……まさか……」
クラインの低くしわがれた声に最も早く反応したのは、アスナだった勢いよく立ちあがると、彼に向き直る。サチもまた、クラインの言葉を一言たりとも聞き逃すまいと耳を立てた。
「く、クライン知ってるの!?彼奴が誰なのか!?」
「い、いや、昔の名前までは……けど間違いねぇ。これだけは断言できる……」
クライン自身まだ自分の言う事を信じられない……否。“信じたくない”ようだった。しかしはっきりと、その言葉は紡がれる。
「ヤロウは、ラフコフのメンバーだ」
「「「「………………!!」」」」
その言葉に、SAO組全員が息をのんだ。
クラインの語った所によれば、先程ぼろマントが言った「イッツ・ショウ・タイム」と言う言葉は、ラフィンコフィンのリーダーであった『Poh』の決め台詞だったのだそうだ。当然、それを口に出来た以上、彼がかなりPohに近い、幹部級のプレイヤーであろうとも、クラインは言った。
「あの……ラフコフって?」
と、この中で唯一ラフィン・コフィンを知らないリーファが訪ね、慌てたようにシリカがかの殺人ギルドの猛威と消滅について
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