GGO編
百五話 観戦者達の不安
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と言われること請け合いだが。
と、アスナ達がうんうん唸っている間にも、画面上で起こる戦闘は次々に進行していく。
大会が始まって既に三十分が経つが、十六分割されだ画面の中にキリトはまだ一度も出てきて居ない。画面は戦闘中の状況しか写さないようなので、つまりキリトはまだ一度も戦闘を行っていないと言うことだ。リーファの言うとおり、確かに違和感がある。これだけのイベントに出て居るにもかかわらず、バトルマニアことキリトが何のアクションも起こさず逃げ隠れ続けていると言うのは釈然としない……
「……つまり、大会で活躍するよりも、大事な目的があるって事……?」
「…………」
アスナが小さな声でそう呟く横で、サチも同じように考え込むような顔で軽く握った手を胸元に持って行く。
事態は、その時起きた。
十六分割された画面の中央辺りに表示されていた戦闘。画面中央に出ていたダインと言う名のプレイヤーが、赤茶色の鉄橋を渡って来る青い迷彩服のプレイヤーに、マシンガンの弾をバラまいているのだが、青いプレイヤーは素晴らしい身軽さで橋を縦横に跳び回り、たちまち接近すると、よく映画等で見る。太いシルエットの……所謂ショットガンと呼ばれる類の物であろう銃を立て続けにぶっ放し、あっと言う間にダインを倒してしまった。
アスナの隣で、感嘆したように高めの口笛が鳴る。
「っはー、強いわねあの人……何かああして見ると銃も結構面白そうかなぁ、自分で作れたりするのかな……」
SAOでは鍛冶師。ALOでは鍛冶妖精と言う、彼女らしい発言だ。その発言に、アスナが顔を綻ばせながら言う。
「ちょっと、リズまでGGOにコンバートするとか言い出さないでよ?」
「そーですよリズさん!もうすぐ、やっと二十層台解放のアップデートがあるんですから」
シリカにも突っ込まれ、リズは両手を上げてぷらぷらと振り、「分かってるわよ〜」と呟く。
実際二十層台には少々ハードな戦闘の予定が在るので、貴重な鍛冶師の彼女に居なくなられては困るのだ。
「あっ、見て」
と、再び画面に目を戻したサチが声を上げた。画面の中で、先程ダインを倒したばかりの青いプレイヤーが、ばったりと倒れたのだ。
ただし一撃死したわけではなく、何やら身体に突き刺さった弾丸から細かい電流が走り、動きを封じているようだった。
「まるで、風魔法の《封雷網(サンダーウェーブ》みたい……」
リーファがそう言った。確かに、エフェクトとしては近いものが在るように思う。
暫くクラインとリズが魔法抵抗スキル系統を取る取らないでギャーギャーと言っていたがそれに苦笑しつつアスナが指先を動かし、その画面をアップにする。
画面中央に写った青いプレイヤー……
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