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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十四話 赦しを請う者
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時点で有罪です。前日の六月九日に彼を逮捕し教団を強制捜査します」
「随分と過激だな」
皮肉なのかと思ったが至極真面目な表情だ。そうか、オーベルシュタインだ。彼に何処か似ている……。
「いい加減待つのは飽きました。少し乱暴に動いてみようと思います。連中が嫌でも動かざるを得ないように……」
「なるほど、それも良いか」
ルーゲ伯が頷く、そして俺に視線を向けた。
「どうかな、フェルナー課長補佐。問題が有るかな」
「いえ、賛成です。連中は極めて慎重ですからね。乱暴な方が意表を突けるかもしれません」
俺もいい加減動きたくなってきた。待つのは性に合わん。
「オーディンが動けばフェザーンにも動きが出るでしょう、そしてハイネセンにも動きが出るはずです。それぞれが動く事で新しい事態が発生する、澱んだ水を掻き回してみようと思います」
「分かった」
「リヒテンラーデ侯には私から話します」
「うむ、頼もうか」
「ボイムラー准将にはフェルナー准将、卿から話してくれ」
「分かりました」
「では私はこれで」
指示を出し終わるとエーリッヒが席を立った。ルーゲ伯と共にエーリッヒが立去るのを見送る。彼の姿が見えなくなった直後だった、ルーゲ伯が話しかけてきた。
「フェルナー課長補佐、いやフェルナー准将と呼んだ方が良いかな」
「……あ、いえ」
「課長補佐と呼ぶと僅かだが不本意そうな表情が目に出る、まだまだだな」
「……」
嫌味な爺様だ、一体何の用だ。
「彼を守りたまえ、死なせてはいけない」
「……」
「頼んだよ、フェルナー准将。……ああいう想いは二度としたくないからな」
「……閣下」
「では私も失礼する」
ああいう想い? 呆然として立去るルーゲ伯を見送った。
帝国暦 489年 5月 31日 オーディン 宇宙艦隊司令部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
新無憂宮から宇宙艦隊司令部に戻ると時間は既に午後三時を五分過ぎていた。遅刻だ、拙いな、相手が悪く取らなければ良いんだが……。
「来ていますか?」
ヴァレリーに問いかけると“応接室に御通ししました”と答えた。視線にこちらを咎めるような色が僅かだが有る。故意に遅れたんじゃないぞ。
応接室に入るとソファーに座っていた人物が立ち上がって敬礼をしてきた。こちらも答礼を返す。ソファーに座るように勧め俺も席に座った。
「申し訳ありません、前の打ち合わせが思ったより伸びてしまいました。悪く取らないで下さい」
「いえ、そのような事は有りません」
目の前に初老の男が居る。六十にはまだ間が有るはずだが六十歳と言われても違和感は無いだろう。人生に疲れた様な表情をしているし身体からもそんな雰囲気が出ている。新品のスーツを着ているはずなんだが今一
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