凶宴のとき……中 (改訂)
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ぁ、ランサーとでも呼んでくれや。それより」
ランサーと名乗ったその男の人は、僕の正面に回り込むと顔を近づけてきた。
「暇なら俺と遊ばねーか?」
「や、あの……切嗣……」
少し怖くて上手く喋れない。
「ん?その反応もしかしているのか、これが?」
そう言うとランサーさんは小指を立てた。
小指って、もしかして……//
「ははーん、その反応……」
恐らく真っ赤になっているだろう僕の顔をニヤニヤしながら見ると、ランサーさんはあっさり身を引いた。
「やめだやめだ。惚れた男がいるならさっきの話は無しだ」
……あれ?見た目よりは悪い人じゃないのかな。
「ま、おもしれー反応見せて貰ったしそれで良しとしとくか。じゃあな嬢ちゃん」
何の未練も感じさせないような軽やかさで踵を返し、彼は曲がり角の方に向かっていった。そして、後ろ手にサムズアップをし
「幸運を祈ってるぜ」
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御輿に轢かれた……
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「……へ?」
ワッショイワッショイという妙にアクセント位置のおかしい掛け声がやたら平和で怖かった。
時間にして一分間。お神輿のラッシュが過ぎるまで痛々しい悲鳴が響き渡った。
「ら、ランサーが死んだ」
『この人でなし!!』
「だ、誰!?」
思わず呟いた言葉にどこからともなく答えが返ってきた。
「ぐ……」
「あ、ランサーさん!」
見るとランサーさんは、息も絶え絶えと言った風に片膝をつき立ち上がろうとしていた。
「この程度でくたばれるんならよ、オレは英雄なんぞなってねぇくぺ!?」
「あ、犬に噛まれた」
何か格好いい台詞を喋ろうとした瞬間、犬に噛まれていた。
「お待たせ、シャルロット……って何かあったのかい?」
「あ、切嗣。うん、ちょっとね。生の儚さについて考えさせられて……」
これが諸行無常か……
「そ、そうか。まぁ、はいこれ」
苦笑いを浮かべながら、発泡スチロールのケースを渡された。
「たこ焼きって言うんだ。此方は焼きそば……」
……うん、今はお祭りを楽しもう。人の生は限られているんだ。
「切嗣、次は何をして遊ぼうか」
「そうだね、次は……」
幸運な事に、シャルロットからはさっきまで感じていた気まずさは消え去っていた。
ランサーの死によって……
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