凶宴のとき……中 (改訂)
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魘されていたから、ついていてくれたのかな)
そう考えると、何だかこそばゆい気持ちになった。
だけど、そんな気持ちに長く浸っている事は出来なかった。不意に、彼の腕の辺りが白い光に包まれ出したのだ。みると、腕に付けているアクセサリーが光を放っていた。
(これは……切嗣のISかな?)
寝惚け頭で呑気に考える……次の瞬間、唐突に光は止み
「え……?」
代わりに、人が浮いていた。
「……綺麗」
ありえない現実を見て、一番最初にでる感想がこれというのは自分でもおかしいと思う。でも、そんな考えしか残さない程、その人は綺麗だった。
薄く……淡く光り、流れるような銀色の髪に、純白のドレス。紅い宝石のような瞳を際立たせる、白い肌。そんな女性がそこに居た。
その女の人は、一つ寂しげに微笑むと、切嗣の頭を優しく抱いた。まるで子供をあやすかのように……
時間にして僅か五秒程の事だった。でも、それは一秒を世界の果てまで伸ばしたように感じられるほど、神秘的な光景だった。
優しい抱擁を終えた後、その人は僕を正面から見据え、頭を下げた。
「この人を、お願いします」
「え、あの」
混乱する脳をおいてきぼりにして、その女性は話を続けた。
「この人は弱いから、支えてあげて下さい」
「あ、あの貴女は」
漸く脳が状況に追いついた瞬間、しかしその人は消えてしまった。まるで最初から居なかったかのように……
薄暗さが戻った後、静寂が空間を支配した。
不思議とさっきの光景が異常とは思えなかった。あたかも、その女の人の抱擁は日常のひとこまとすら錯覚してしまう程に、あの瞬間違和感を感じることすら無かった。
……ただ、そこに胸に何か鋭いものを刺されたような感覚だけを除いて。
「少しだけ……僕も……」
あの女の人がしたように切嗣を抱き締めたい、そんな欲求にかられ、直ぐに白旗を上げた。
ベッドから体を起こし、ゆっくり彼の傍に寄る。
さっきから、心臓の音がうるさい。切嗣を起こしたらどうするんだ。理不尽な難癖を心臓につけ、恐る恐る彼の頭に手を回す。
ギュッと、離さないようにしっかり胸の位置で抱える。
「はぁ……」
冷たさが布一枚を隔てて伝わる。
もう少し、このままで……
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pm11.30
現在シャルロットは真っ赤になった顔を俯け、切嗣と若干距離を空けながら町を歩いていた。
以下、シャルロットの心情から抜粋。
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結論だけ書く。
失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
切嗣の抱き心地が思いの外良く、三十分
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